皮脂腺

皮脂腺の概要

皮脂腺（ひしせん）は、皮膚内に存在し、皮脂を分泌する小さな腺です。この腺は、身体のほぼ全ての皮膚に分布しており、特に体毛に伴っていることが多いです。皮脂腺の主な役割は皮膚を保護し、保湿することです。

皮脂の成分と機能

皮脂は、主にワックスエステル、トリグリセリド、脂肪酸から成り立っています。これらの成分が汗などの水分と混じり合うことで乳化が起こり、皮表脂肪酸が形成され、皮膚の表面を保護します。この皮表膜は、通常pH4から6の範囲にあり、これにより殺菌作用を持つ酸外套が生成されます。

さらに、皮脂は皮膚の不感蒸泄、つまり見えない水分の蒸発を抑えるだけでなく、角層の水分を保持し、肌を潤いのある状態に保つ役割も果たしています。特に、皮膚が乾燥するのを防ぎ、外的な刺激から守る重要な機能があるのです。

皮脂腺の分布

人間の体では、皮脂腺は掌や足底を除くほとんどの部位に見られ、特に体毛が存在する部位に多く分布しています。また、髪の毛が生える部分や顔面など、皮脂腺が集中しやすい場所は「脂漏部位（seborrheic zone）」と呼ばれています。その中でも頭皮は特に皮脂腺が発達しており、髪を守るため大量の皮脂を分泌します。

しかし、髪が過度に長い場合には、皮脂が均一に行き渡らないことがあり、そのためリンスやトリートメントを併用することが多くなります。

一方で、口唇や頬の粘膜など体毛がない部位には直接皮膚に開口する独立脂腺（free sebaceous gland）が存在します。

ストレスと皮脂の関係

ストレスがかかると身体内で活性酸素が増加し、これに伴って皮脂腺の活動も活発になります。しかし、この際に分泌される皮脂は通常よりも強い臭いを放つことがあります。これは、体がストレスに反応していることを示しており、皮脂腺の働きが体調や心の状態と深く関連していることを暗示しています。

参考文献

1. 清水宏『あたらしい皮膚科学』（第2）中山書店、2011年。

関連項目

• - 尾腺（尾脂腺）: 鳥類の背中の尾にある油を分泌する器官。
• - 臭腺: 動物がマーキングに使う皮脂腺。
• - 尾部皮脂腺: 猫やイヌの尾部にあり、マーキングのために発達した腺。

皮脂腺は、皮膚の健康と機能において非常に重要な役割を果たしており、その理解は皮膚科学において欠かせません。

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