マイ・シェリー・アモール

マイ・シェリー・アモール

「マイ・シェリー・アモール」（My Cherie Amour）は、アメリカのシンガーソングライター、スティーヴィー・ワンダーによって1969年に発表された楽曲です。この曲は、彼がミシガン州のランシングに在学中、当時のガールフレンドへの思いを綴ったもので、当初は「Oh My Mercia」というタイトルで歌詞が書かれていました。しかし、彼らが別れた後にタイトルと歌詞が変更され、最終的に「Cherie Amour」（大切な愛）となりました。

この魅力的なバラードは、1967年から1968年にかけて録音されましたが、最初は発表されることなく、後にリミックスを経て1969年に世に出ました。作詞作曲はスティーヴィー・ワンダー自身、さらにヘンリー・コスビーとシルヴィア・モイが関わっています。コスビーはプロデューサーも務めています。

曲のスタイルには、ビートルズのアルバム『ラバー・ソウル』に収録された「ミッシェル」からの影響が色濃く表れています。そのため、モータウンの関係者は、この曲がポール・マッカートニーの作品に非常に似ていると判断し、他の楽曲のB面に収録されました。それでもなお、「マイ・シェリー・アモール」は1969年に「ビルボード」のポップ・シングルチャートで最高39位を記録しましたが、同時に発売された他のシングルのように、ポップ・シングルとR&Bシングルの両方で最高4位の成果を収めました。

チャート・パフォーマンス

この楽曲の成功は、多くのアーティストにインスピレーションを与えました。1969年にはO. C. スミスがアルバム『At Home』に収録し、同じ年にジャクソン5もデビュー・アルバム『帰ってほしいの』にこの楽曲を含めました。ジャクソン5のバージョンでは、ジャーメイン・ジャクソンがリードボーカルを務めています。また、アンディ・ウィリアムスもRIAA認定ゴールドアルバム『Get Together with Andy Williams』にこの曲を取り上げています。

1970年には、スモーキー・ロビンソンとザ・ミラクルズがアルバム『What Love Has...Joined Together』に収録し、エンゲルベルト・フンパーディンクも同年のアルバム『We Made It Happen』でこの曲をカバーしました。さらに1971年にはビリー・エクスタインがアルバム『Feel the Warm』に、1975年にはクインシー・ジョーンズが『Mellow Madness』で、1976年にはリズム・ヘリテイジが『Disco-Fied』に収録しています。

この楽曲は、スペイン語のバージョンもあり、クリスティアン・カストロがアルバム『El Camino del Alma』に、エロス・ラマゾッティがブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのトリビュート・アルバム『Rhythms del Mundo Classics』で取り上げています。また、リリースされてから数十年後も、2009年にロッド・スチュワートがカバー・アルバム『ソウルブック』に収録し、スティーヴィー本人もハーモニカで参加しました。最近では、2023年に原田知世がカバー・アルバム『恋愛小説4 〜音楽飛行』に収録するなど、今もなお愛される曲であることがわかります。

このように「マイ・シェリー・アモール」は、スティーヴィー・ワンダーのキャリアにおける重要なマイルストーンであり続け、数多くのアーティスト達によって新たな命を吹き込まれています。

もう一度検索