マイ・シェリー・アモール (アルバム)

アルバム『マイ・シェリー・アモール』

『マイ・シェリー・アモール』は、1969年にリリースされたスティーヴィー・ワンダーの通算13枚目のアルバムです。この年、彼はミシガン盲学校で基礎課程を修了し、作曲家としての才能を発揮し始めました。スティーヴィーは、何かに触発されるとすぐに曲を作り始める情熱を持ち、ある月には150曲の作品を手がけたというエピソードも存在します。彼の言葉によれば、「歌うことよりも曲作りの方が好きだった」とのことです。

アルバムの目玉曲である「マイ・シェリー・アモール」は、1969年1月に発表された『フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ』に収録された「アイ・ドント・ノウ・ホワイ」のB面として知られています。A面の「アイ・ドント・ノウ・ホワイ」がビルボードで39位に達したのに対し、「マイ・シェリー・アモール」は4位という好成績を収めました。この曲の成功は、スティーヴィーにとって重要な瞬間の一つであり、彼の音楽が広く受け入れられるきっかけとなりました。

アルバムには他にも多くの傑作が収められています。特に「イェスター・ミー」は、スティーヴィーが以前のアルバム『フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ』の作曲を手がけたロン・ミラーによる作品で、こちらもビルボードで7位のヒットを記録しました。また、スタンダード・ナンバーである「ハロー・ヤング・ラヴァーズ」や「いそしぎ」なども収録されており、これらの曲の存在がアルバムの多様性を更に引き立てています。さらに、ドアーズの「ハートに火をつけて」のカヴァーでは、スティーヴィーのハーモニカ演奏を聞くことができ、彼の音楽的幅広さが感じられます。

また、アルバムのSide 2には、スティーヴィーの当時のガールフレンド、アンジーに捧げられた「アンジー・ガール」や「ギヴ・ユア・ラヴ」が収録されています。作詞家のシルヴィア・モイは、これらの曲にしばしば「アンジー」という名前が登場するため、別の名前に差し替えたり削除したりする作業を余儀なくされたと言われています。

1969年は、スティーヴィー自身にとっても、音楽業界にとっても激動の年でした。ビートルズの解散やダイアナ・ロスのスプリームスからの脱退、マーサ＆ザ・ヴァンデラスのツアー中止など、モータウンにとっても変革の時代でした。こうした状況の中、スティーヴィー・ワンダーはアルバム『マイ・シェリー・アモール』を発表し、彼の音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品となりました。

収録曲

Side 1

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