マクシミリアン・ホーエンベルク

マクシミリアン・ホーエンベルク：帝位継承者の血を引く初代公爵の生涯

マクシミリアン・ホーエンベルク（1902年9月29日 - 1962年1月8日）は、オーストリア＝ハンガリー帝国の帝位継承者フランツ・フェルディナント大公の長男として生まれました。全名はマクシミリアン・カール・フランツ・ミヒャエル・フーベルト・アントン・イグナティウス・ヨーゼフ・マリア。彼はホーエンベルク公爵家の初代当主となりました。

生い立ちと家族

マクシミリアンは、フランツ・フェルディナント大公とゾフィー・ホテク伯爵夫人の間に誕生しました。しかし、両親の貴賤結婚のため、彼とその姉弟は帝位継承権を認められず、ハプスブルク家の正式な成員としても遇されませんでした。1914年、両親がサラエボ事件で暗殺されると、姉弟は母方の親族であるトゥーン・ウント・ホーエンシュタイン侯爵家に引き取られました。大伯父である皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が彼らを王宮に呼んだのは、生涯で一度きりでした。

第一次世界大戦とその後

皇族とは認められなかったものの、第一次世界大戦中には戦災孤児福祉の象徴として大々的に取り上げられました。多民族国家であったオーストリア=ハンガリー帝国において、マックスら三姉弟は「祖国の子供」を創出するための宣伝材料として利用されたのです。

両親の死後、12歳で母親が叙爵されたホーエンベルク公爵位を相続しましたが、帝国崩壊後の1919年には爵位は法的に廃止されました。同年、チェコスロバキアの特別措置法により、ホーエンベルク公爵家はオーストリア共和国に追放されます。ウィーンのショッテン中等教育学校を卒業後、大学で法学を学び、1926年にグラーツ大学で法学博士号を取得。法律家として働きながら、所領の経営にも尽力しました。

アンシュルスと第二次世界大戦

マクシミリアンは君主制支持者として活動し、従甥にあたる元皇太子オットー・フォン・ハプスブルクと緊密に連絡を取り合っていました。1938年のナチス・ドイツによるオーストリア併合（アンシュルス）には、オーストリアの自主独立を脅かすものとして反対し、弟エルンストと共に逮捕されダッハウ強制収容所に抑留されました。貴族出身の兄弟には、収容所内のトイレ清掃という屈辱的な仕事が与えられました。1940年に解放されたものの、居城であるアルトシュテッテン城に軟禁されることとなりました。

戦後と晩年

第二次世界大戦後、ソ連占領地域となったアルトシュテッテンの村長に選出され、2期5年間にわたり務めました。

元皇太子オットーから、ハプスブルク家とオーストリア連邦政府の間の財産返還交渉におけるハプスブルク家側の全権代表に任じられましたが、彼は一切の妥協を認めなかったため、交渉は決裂しました。また、オットーの帰国許可に関しても連邦政府との交渉を依頼されましたが、憲法裁判所はオットーの入国禁止処分を解くことはありませんでした。

強制収容所での虐待が原因で健康を害し、1962年に59歳で死去。遺骸はアルトシュテッテン城の付属教会堂の霊廟に納められています。

子女

1926年にエリーザベタ・ボナと結婚し、6人の息子をもうけました。

フランツ・フェルディナント・フリードリヒ・エルンスト・カール・レオポルト・マウリティヌス・フーベルトゥス・マリア（1927年 - 1977年）
ゲオルク・フリードリヒ・マクシミリアン・ヤロスラフ・ペトルス・カニジウス・マルクス・フーベルトゥス・マリア（1929年 - 2019年）
アルブレヒト・フィリップ・レオポルト・ヨーゼフ・アンドレアス・フーベルトゥス・マリア（1931年 - ）
ヨハネス・アンドレアス・ヨーゼフ・アントニウス・ミヒャエル・ゼフェリヌス・アレクサンダー・フーベルトゥス・マリア（1933年 - 2003年）
ペーター・フリードリヒ・ベネディクト・ヨーゼフ・エマヌエル・ゲアハルト・ユダス・タデウス・フーベルトゥス・マリア（1936年 - 2017年）
ゲアハルト・ヨーゼフ・アントン・シュテファン・ヤーコプ・ヴェンツェル・ピウス・ハルトマン・フーベルトゥス・マリア（1941年 - 2019年）

マクシミリアン・ホーエンベルクは、激動の20世紀を生きた人物でした。皇位継承者の血筋でありながら、貴賤結婚という宿命を背負い、政治的な激流に翻弄されながらも、自らの信念を貫き通したその生涯は、私たちに多くのことを教えてくれます。

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