マクジョージ・バンディ

マクジョージ・バンディ：冷戦下の政策決定者

マクジョージ・バンディ（McGeorge "Mac" Bundy, 1919年3月30日 - 1996年9月16日）は、20世紀のアメリカ合衆国において、政治学者、政府高官として重要な役割を果たしました。特に、ケネディ政権およびジョンソン政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官（1961年 - 1966年）を務めたことで知られています。その経歴は、学術界から政界、そして財団へと多岐にわたり、アメリカ社会に大きな影響を与えました。

生い立ちと学歴

バンディは、マサチューセッツ州ボストンで、政治と深い関わりのある名門一家に生まれました。母方のキャスリーン・ローレンス・プットナムは、ボストン・ブラーミンと称される名家の出身であり、父方のハーヴェイ・ホリスター・バンディは、ヘンリー・スティムソン陸軍長官の特別補佐官を務め、マーシャル・プランの実施にも関与した外交官でした。このような環境で育ったバンディは、グロートン・スクールを経てイェール大学に進学し、学問の基礎を築きました。

ハーバード大学での活躍

ハーバード大学に進んだバンディは、その才能を開花させ、教授として教鞭を執りました。1953年には、34歳という若さで教養学部長に就任し、ハーバード大学における最年少の学部長となりました。彼のリーダーシップのもと、ハーバード大学は学術研究の中心地としての地位をさらに高めました。

ケネディ、ジョンソン政権での役割

1961年、バンディは国家安全保障問題担当大統領補佐官としてケネディ政権に入り、政界でのキャリアをスタートさせました。彼は、ピッグス湾事件、キューバ危機、ベトナム戦争といった、冷戦下におけるアメリカの重要な外交政策決定に深く関与しました。特に、ベトナム戦争においては、トンキン湾事件後にヴェトナムでの直接軍事行動開始を提言するなど、政策決定に大きな影響を与えました。しかし、他のケネディ政権からのメンバーと同様に、この戦争に対して次第に懐疑的になっていったとされています。

1966年、バンディは国家安全保障担当大統領補佐官を辞任し、フォード財団理事長に就任しました。フォード財団では、教育、科学、福祉、国際問題など、幅広い分野での助成活動を推進し、社会貢献に尽力しました。1979年まで理事長を務めた後、1989年までニューヨーク大学で歴史学の教授として教鞭を執りました。

原爆投下に関する見解

1991年、バンディは雑誌への寄稿で、原爆投下の必要性には疑問が残るとしつつも、真珠湾攻撃から始まった戦争に終止符を打つという歴史的使命があったとの見解を示しました。この発言は、第二次世界大戦の終結における原爆の役割について、改めて議論を呼ぶこととなりました。

死去と遺産

1996年、マクジョージ・バンディは心臓発作により77歳で死去しました。彼の生涯は、学術、政治、慈善活動という多岐にわたる分野での貢献によって彩られています。彼の政策決定は、アメリカの歴史に深く刻まれ、その業績は今日においても研究され、評価されています。

家族

バンディの家族は、代々、法律家や政治家を輩出してきた名門でした。父方の祖父と曾祖父は法律家であり、母方のローウェル家は、ボストン・バラモンと呼ばれるボストンの上流階級60家のひとつでした。母方の大伯父には天文学者のパーシヴァル・ローウェル、ハーバード大学学長のアボット・ローレンス・ローウェル、ピューリッツァー賞詩人のエイミー・ローウェルがいます。また、兄のウィリアム・P・バンディも国務次官補を務めるなど、政治の世界で活躍しました。

関連項目

ベトナム戦争
ベスト・アンド・ブライテスト
ジョン・F・ケネディ
リンドン・B・ジョンソン
* ロバート・S・マクナマラ

もう一度検索