エイミー・ローウェル

エイミー・ローウェル：イマジズム詩人とその多彩な人生

エイミー・ローレンス・ローウェル (1874-1925) は、20世紀初頭のアメリカを代表するイマジズム詩人です。1926年、没後にピューリッツァー賞詩部門を受賞した彼女の作品は、今日でも高い評価を得ています。

ローウェルは、マサチューセッツ州ブルックラインの著名なローウェル家に生まれました。兄には、冥王星の存在を予測した天文学者パーシヴァル・ローウェル、ハーバード大学学長を務めたアボット・ローレンス・ローウェルがいます。しかし、当時の社会通念から女性である彼女は大学教育を受けませんでした。その代わりに、彼女は読書に没頭し、膨大な蔵書を所有するほどの愛書家となりました。

社交界の華やかな生活を送る傍ら、1902年、女優エレオノーラ・ドゥーゼの演技に感銘を受けたことをきっかけに、詩作を始めます。1910年には『アトランティック・マンスリー』誌に詩が掲載され、1912年には処女詩集『A Dome of Many-Coloured Glass』を出版。本格的な詩人としてのキャリアをスタートさせました。

ローウェルは、レズビアンであったと言われています。特に女優のエイダ・ドワイヤー・ラッセルとの関係は有名で、ラッセルはローウェルの作品に影響を与えたとされています。また、有名なレズビアン作家メルセデス・デ・アコスタとも文通があったとされますが、その内容はドゥーゼの記念祭に関するものでした。

ローウェルは、印象的な風貌でも知られていました。髪を束ね、眼鏡をかけ、葉巻をたしなむ姿は、多くの人々の記憶に残っています。詩人のウィッター・ビナーは、ローウェルの体格について言及していますが、エズラ・パウンドによる「カバ詩人女」という表現は、誤解に基づくものと考えられています。

実際、パウンドはローウェルをイマジストとはみなしておらず、むしろ経済的にイマジズム詩運動を支援できる裕福な女性として見ていた節があります。パウンドがヴォーティシズムへと移行した後、イマジズム詩は衰退していきましたが、ローウェルは自由詩の初期の支持者であり続けました。

日本の俳句や浮世絵にも造詣が深く、1919年の作品集『Pictures of the Floating World』には、そうした影響が色濃く反映されています。

ローウェルは1925年、脳出血のため51歳で亡くなりました。没後翌年に発表された『What's O'Clock』で、彼女はピューリッツァー賞を受賞しました。長い間忘れられていた彼女の作品は、近年、レズビアンとしての側面や、『The Green Bowl』、『The Red Lacquer Music Stand』、『Patterns』などにみられる、生命のない物体に命を吹き込むような驚異的な表現力が見直され、再び注目を集めています。

詩作のほかに、ローウェルはフランス文学評論やジョン・キーツの伝記なども執筆しています。そのキーツへの深い傾倒ぶりは、多くの文献に記されています。彼女の幅広い関心と才能は、21世紀の今日においても、多くの読者を引きつけ続けているのです。

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