マクドネル・ダグラス DC-10

マクドネル・ダグラス DC-10

マクドネル・ダグラス DC-10は、アメリカの航空機製造会社が開発した三発式のワイドボディ旅客機である。本機は主に中距離路線向けに設計され、300席を持つ。この機体は1966年にアメリカン航空の要望を受けて開発が始まり、1970年に初飛行、1971年からの運用を経て1988年に生産が終了した。

機体の特徴

DC-10は、そのエンジン配置が特異である。主翼下に二基と、垂直尾翼の根元に一基の合計三基のジェットエンジンを搭載している。この配置により、特に垂直尾翼が独特の形状になり、構造も工夫が重ねられている。また、主翼は35度の後退角を持ち、高揚力装置として前縁スラットが装備され、安定した飛行を実現している。

開発の歴史

もともと、ダグラス社はC-5Aギャラクシーの開発競争で敗れたことを受けて、より大きな旅客機の開発を考えていた。その一環として生まれたのがDC-10である。初めは双発の旅客機が求められていたが、安全性の観点から三発機が選ばれ、開発が進められた。

アメリカン航空からの具体的な要望を反映させる形で、DC-10の基本設計は1967年に決定され、その後ローンチ顧客としてアメリカン航空からの受注があった。1980年までに生産されたDC-10の機数は446機に達し、様々な航空会社に採用された。中でも日本航空はDC-10-40型を導入し、1976年から日本国内及び国際線で運用した。

運用と成績

DC-10は、1970年代から1980年代初頭にかけて多くの航空会社で広く使用された。主にアメリカ国内線や国際線での長距離輸送に活躍し、多数の派生型が生まれた。デザインと技術の変化により、オペレーターの各社は効率の良い運航が可能となった。しかし、運用初期には貨物室ドアの設計ミスによる重大な事故が発生し、その影響で「危険な機体」とのレッテルが貼られることもあった。

トルコ航空やアメリカン航空の事故は、特にその後の安全対策強化の引き金となった。以降の運航では、さまざまな改修が施されることで信頼性が向上していった。1970年代末には、DC-10はその成功により、長距離路線にも適応し、旅客機市場での競争力を獲得していった。

現在の状況

旅客型DC-10は2014年に全機退役し、貨物型のみが運用を続けている。最大のオペレーターであったフェデックスは2022年に全機運航を終了したが、数社が貨物飛行機として運用を続けている。DC-10の設計上の特異性や技術、歴史的背景は、今でも航空機ファンや研究者の間で語り継がれている。

まとめ

DC-10は、航空史における重要な機体であり、多様な使い道と多くの航空会社によって運用されてきた。特有なエンジン配置と広い旅客室に加え、数々の派生型により様々なニーズに応えてきた。この機体は、航空機デザインの進化と航空業界の変遷を象徴する存在である。

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