マクマト 120mm自走迫撃砲

マクマト 120mm自走迫撃砲

マクマト120mm自走迫撃砲は、イスラエルによって1960年代初頭に開発された自走迫撃砲です。この車両は、M3ハーフトラックの車体を基に、ソルタム・システムズ製のM65 120mm迫撃砲を搭載しており、イスラエル国防軍の重要な装備の一つとなっています。特に、1967年の第三次中東戦争と1973年の第四次中東戦争において実戦投入され、その性能を証明しました。

「マクマト」という名称は、ヘブライ語で「自走重迫撃砲」を意味する「Margema Kveda Mitnayaat」の頭文字を使ったアクロニムです。この分類には、マクマトの他にも、スーパーシャーマンに搭載されたソルタムM66 160mm迫撃砲も含まれ、同じく「マクマト」と呼ばれています。

概要と開発背景

イスラエル国防軍は、1948年の独立戦争以来、アメリカ製のM2およびM3ハーフトラックを多く運用しており、さまざまな派生型が登場しました。ハーフトラックにはMk.AからMk.Dまでのタイプがあり、特にMk.D型は120mm迫撃砲を搭載した自走迫撃砲として知られています。マクマトは1962年からの生産が記録されていますが、1960年の軍事パレードで試作車両が公開されているため、実際の開発はそれ以前から行われていたと考えられます。

この自走迫撃砲は、オーソドックスな構造で、ハーフトラックの中央部に迫撃砲が配置され、両側には弾薬が搭載されています。これは、前方向に向けた射撃が主ですが、砲がボールマウント状に搭載されているため、一定の範囲で方向を調整できる点が特長です。この設計は、アメリカ軍のM4/M21とは異なり、自由に火力を展開できるメリットを持っています。

仕様と運用

搭載されるM65迫撃砲にはいくつかのバリエーションがあります。軽量タイプは筒状の砲弾ケースを束ねた形で搭載され、重いタイプは箱状のケースに収納されています。このような多様性が、作戦の柔軟性を高める要因となっています。

車体に関しては、主にM5/M9レンドリース型のハーフトラックが使用されており、これは防弾能力がそこまで必要でない自走型に対し、安全性を確保した上で運用されているためだと言われています。また、M3車体を基にしたマクマトも存在する可能性があり、具体的な検証は難しいものの、研究が進められています。

この自走迫撃砲は、1967年の第三次中東戦争や1973年の第四次中東戦争に参加したことで、その運用実績を積み重ね、多くの武装組織にも供与されていきました。1980年代には他国にも輸出され、イスラエル軍と友好関係にある南レバノン軍への供与も行われています。

現状と展示

現在、イスラエル軍の運用は進化し、M113装甲兵員輸送車をベースにした新しい車両に取って代わられ、マクマト120mm自走迫撃砲は退役しました。しかし、イスラエル国内の博物館などでは、現存する実車やその音響と共に展示され、訪れる人々にその歴史的な価値が伝えられています。これにより、マクマトの重要な役割とイスラエル国防軍での位置づけが理解されることを期待しています。

もう一度検索