南レバノン軍

南レバノン軍について

概要

南レバノン軍（South Lebanon Army、略称SLA）は、1970年代後半のレバノン内戦において構成された民兵組織です。この組織は、レバノン政府軍に所属していたサアド・ハッダード少佐によって設立されました。彼は南部において、シリア軍やパレスチナ解放機構（PLO）の影響が強まるのを懸念し、民兵組織を結成しました。

1978年には、イスラエル国防軍がPLOの拠点を攻撃するためにレバノン南部に侵攻しました。この際、ハッダード少佐の指導する部隊はイスラエルと協力し、その結果、1979年には自由レバノン軍（Army of Free Lebanon、AFL）が成立しました。自由レバノン軍はイスラエルから大量の兵器を提供され、同国軍やキリスト教徒の民兵であるレバノン軍団（LF）と共にPLOやシリアの勢力と戦います。

特に1982年のガリラヤの平和作戦において、イスラエル軍と協力し、PLOを南レバノンから排除することに成功しましたが、1984年にハッダード少佐が死去すると、指導者の交代が行われ、アントワーヌ・ラハド准将が新たなリーダーに就任し、組織名も南レバノン軍に変更されました。

活動と衰退

南レバノン軍はその後も活動を続けましたが、ガリラヤの平和作戦以降、ヒズボラという新たな敵と対峙することになりました。ヒズボラはイランから派遣された革命防衛隊によって訓練を受けており、南レバノン軍にとって厳しい状況に直面しました。結果として、2000年にイスラエル軍が撤退すると、南レバノン軍は戦力を維持することが困難になり、解散状態に至りました。ラハド准将はイスラエルに亡命し、多くのメンバーも散り散りになりました。

装備

南レバノン軍は自由レバノン軍時代に、当初はレバノン国軍の装備を流用していましたが、後にイスラエル国防軍から支援を受け、余剰兵器が提供されました。加えて、敵対勢力から鹵獲した武器も利用し、様々な種類の西側及び東側の武器を運用しました。特に目立ったのは彼らの青い塗装の施された軍用車両や戦車であり、それは彼らの識別にも寄与していました。

装備品の例

• - 小火器: UZI、ガリル、AK-47、H&K G3、FN FAL、M16自動小銃、FN MAG、RPD軽機関銃、PKT
• - 対戦車兵器: RPG-7、M72 LAW、BGM-71 TOW、9M14、B-300対戦車ミサイル
• - 火砲: BM-21、M-46 130mmカノン砲、ソルタムM66 160mm迫撃砲
• - 車両: M325、M151、ハンヴィー
• - 装甲車両: M3ハーフトラック、M113装甲兵員輸送車、ZSU-23-4、BTR-60、BTR-50、BTR-152
• - 戦車: スーパーシャーマン（M50 Mk.II）、T-55（改修型含む）、M48パットン、FV4101 チャリオティア、AMX-13
• - 航空機: セスナ 206、SA 341ヘリコプター

さらに、彼らが着用した軍服やその他の携行品の多くはイスラエル製であり、OR-201ヘルメットやタディラン社製の無線機が使用されていました。これらの装備は、南レバノン軍がその活動を続ける上で重要な要素となりました。

結論

南レバノン軍は、レバノン内戦の中で形成された重要な民兵組織で、特にイスラエルの支援を受けながらPLOやヒズボラとの戦闘で活動しました。彼らの歴史や戦闘装備は、レバノンの政治的な歴史に大きな影響を与えました。

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