マクマード基地

マクマード基地は、南緯77度51分、東経166度40分に位置する、アメリカ合衆国の南極観測基地です。ロス島のハットポイント半島南端にあり、その名前は探検家アーチボルド・マクマードに由来します。

概要

1956年にアメリカ海軍が設営した拠点がその始まりで、現在はアメリカ国立科学財団南極プログラム(USAP)が所有し、レイセオン・ポーラー・サービス社が運営しています。マクマード基地は、南極点にあるアムンゼン・スコット基地への補給中継点としての役割も担っており、マクマード南極点道路を通じて物資が輸送されています。

南極の観測基地の中でも特に規模が大きく、100以上の建物が立ち並んでいます。夏季には1000人以上が滞在し、冬季でも200人ほどの常駐者がいます。アクセスも比較的容易で、船舶の接岸が可能なほか、以下の3本の滑走路を有しています。

ペガサス・アイスランウェイ (ICAO: NZPG)：大陸氷河上に設けられた恒久的な滑走路で、ブラックアイランドに位置します。
シー・アイスランウェイ (ICAO: NZIR)：冬季限定で利用される氷結海面上の滑走路で、基地に最も近い場所にあります。
ウィリアムズ・フィールド (ICAO: NZWD)：雪原上に建設された恒久的な滑走路です。

かつては、基地への電力供給と暖房を安定的に確保するため、1962年に小型の原子力発電所が建設され、約10年間稼働していました。しかし、基地へのアクセスが向上し、年間を通じて燃料輸送が可能になったため、1972年に撤去されました。

気候

マクマード基地は、すべての月で平均気温が氷点下となる極地の氷雪気候（ケッペンの気候区分ではEF）に分類されます。ただし、最も暖かい月（12月と1月）には、一時的に気温が氷点を上回ることがあります。

南極横断山脈によって内陸からの冷たい風の影響が比較的少ないため、ドイツのノイマイヤー基地IIIのように頻繁に-40℃を下回ることは稀です。内陸部からの寒気団の影響で、氷点を超えることが非常に稀なノイマイヤー基地IIIとは対照的に、マクマード基地では夏に氷点を超えることが多くあります。

記録された最高気温は、2001年12月30日に観測された10.5℃です。

名所・旧跡

バードのモニュメント：探検家リチャード・バードを記念したモニュメントは、1965年に建てられました。ブロンズ製の胸像が、黒い大理石の台座に設置されており、バードの南極探検の功績を称える銘板が取り付けられています。
* 原子力発電所の銘板：マクマード基地にかつて存在した原子力発電所PM-3Aを記念するブロンズ製の銘板が、オブザーベーションヒルの西側中腹にある大きな岩に設置されています。この銘板には、南極初の原子力発電所としての偉業が記されています。

マクマード基地は、南極観測活動において重要な役割を果たしており、その歴史と施設は、南極研究における重要な遺産となっています。

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