アムンゼン・スコット基地

アムンゼン・スコット基地：南極点に挑む科学の砦

アムンゼン・スコット基地は、アメリカ合衆国が南極点に建設した観測基地であり、1956年11月にその歴史をスタートさせました。この基地は、1957年の国際地球観測年を記念して設立され、南極点初到達を競った探検家、ロアール・アムンセンとロバート・スコットの2人に敬意を表して名付けられました。

基地の概要

基地は、厚さ約2,800メートルの氷床の上に建設されています。内陸部に位置するため、気候は氷雪気候に属し、極寒の環境下で観測活動が行われています。

施設の変遷

当初、ドーム型の建物が使用されていましたが、建設から30年以上が経過し、手狭になったことに加え、基地人口の増加に対応するため、新施設の建設が決定されました。1999年から建設が開始され、2003年に完成し、現在の活動拠点となっています。新施設は、機能が統合され、室内は快適な温度に保たれています。また、完全に自給自足が可能で、食堂、ランドリー、売店などの生活に必要な施設も完備されています。電力はジェット燃料を動力とする3台の発電機によって供給されています。

建物の設計には、雪による埋没を防ぐための工夫が凝らされています。建物は風上に向けて建てられ、傾斜した壁によって風が高速で地下を通過するように設計されています。これにより、氷食作用を促進し、雪が建物に堆積するのを防いでいます。風洞実験では、雪が2階の高さまで積もらない限り、氷食が継続することが確認されています。この地域では、毎年約20センチの雪が積もるため、必要に応じて建物の高さを調節できるようになっています。過去の観測では、気温は-13.6℃から-82.8℃まで記録されています。

基地の活動

夏季には、基地の人口は200人を超えますが、越冬隊以外の隊員は2月中旬までに基地を離れます。越冬隊は、南極が夜を迎える間、基地を維持し、科学者たちの研究活動をサポートします。2005年には、127人の越冬隊員がいました。越冬隊は2月中旬から10月下旬まで、外部と完全に孤立した状態で活動を続けます。

物資の輸送は、10月から2月にかけて、アメリカ空軍のロッキードLC-130輸送機によって、マクマード基地から行われます。輸送機には限りがあるため、大型の貨物は分解された状態で運ばれます。

研究分野

基地では、氷河学、地球物理学、気象学、上層大気学、天文学、天体物理学、生物医学など、多岐にわたる分野の研究が行われています。特に、低周波天文学の研究が盛んです。南極の高度、低湿度、そして長期間にわたる暗闇という環境が、精密な観測機器の運用に適しているため、数多くの貴重なデータが得られています。

時間と通信

南極点では、9月の春分から3月の秋分までが昼、秋分から春分までが夜となりますが、基地では便宜上、連絡基地であるニュージーランドの標準時（UTC+12、夏時間中はUTC+13）を採用しています。

関連事項

• - 南極観測基地の一覧
• - スコット基地
• - 南極点望遠鏡
• - アイスキューブ・ニュートリノ観測所

外部リンク

• - ライブカメラ（アメリカ合衆国南極プログラム）

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