マクラーレン・MP4/2

マクラーレンMP4/2：F1黄金時代の象徴

マクラーレンMP4/2は、ジョン・バーナードが設計したF1マシンとして、1984年から1986年にかけて活躍しました。このマシンは、マクラーレンチームにとって輝かしい時代を築き上げた立役者と言えるでしょう。TAGポルシェターボエンジンの圧倒的なパワーと、高度な空力技術、そしてニキ・ラウダとアラン・プロストという最強ドライバーコンビの活躍により、マクラーレンチームは1984年と1985年にはコンストラクターズチャンピオンを獲得、さらにドライバーズチャンピオンは1984年にラウダ、1985年と1986年にはプロストが獲得するという偉業を達成しました。

1984年シーズン：燃費性能が鍵

1984年シーズンに向けて開発されたMP4/2は、前年比で燃料制限が厳しくなったことに対応するため、燃費性能の向上を最優先事項として設計されました。TAGポルシェエンジンは、ボッシュ製のエンジンマネージメントシステムとトルエンをベースにした燃料を使用することで、優れた燃費性能を実現しました。マクラーレンが設計し、アメリカのハーキュリーズ社が製造したカーボンモノコックも、マシンの軽量化と剛性向上に大きく貢献しました。

MP4/2は3台のシャシーでシーズンを戦い抜き、ラウダとプロストは合計12勝を挙げました。最終戦では、ラウダが僅か0.5ポイント差でプロストを制し、ワールドチャンピオンの座を獲得しました。マシンの信頼性の高さを示すエピソードとして、シーズンを通して、ドライバーがマシンを壊すことなく完走したため、チームはマシンにかかっていた保険を解約したという逸話が残されています。ラウダはシーズンを通して、MP4/2-1号車を使用し続けました。

1985年シーズン：改良型MP4/2B

1985年シーズンに向けて、MP4/2はレギュレーション変更に対応した改良型MP4/2Bへと進化しました。ミシュランがF1から撤退したため、タイヤサプライヤーはグッドイヤーに変更されました。また、空力デバイスの変更やリアサスペンションの改良なども行われ、MP4/2-4号車もMP4/2Bへと改造されました。さらに、完全にマクラーレンファクトリーで製造された初のシャシー、MP4/2B-6も投入されました。

このシーズンは、ラウダのマシンにメカニカルトラブルが頻発するなど、前年ほどの安定性はありませんでした。しかし、シーズン終盤に盛り返したプロストが5勝を挙げて自身初のドライバーズタイトルを獲得、チームもコンストラクターズタイトル連覇を達成しました。一方、ラウダはこのシーズンをもって引退を表明しました。

1986年シーズン：最終進化型MP4/2C

1986年シーズンに向けて、MP4/2は最終進化型となるMP4/2Cへと進化しました。モノコックは新造され、六角断面形状に戻されました。燃料タンク容量の制限に対応するため、タンクの小型化と低重心化が図られ、ドライバーの着座位置なども変更されました。ギアボックスも5速から6速へと変更されました。

このシーズンは、ウィリアムズ・ホンダが強さを増し、マクラーレンはコンストラクターズタイトルを明け渡すこととなりました。しかし、プロストは安定した走りでポイントを積み重ね、最終戦で優勝し、自身2連覇となるドライバーズタイトルを獲得しました。このシーズンを最後に、ジョン・バーナードはチームを離れ、フェラーリへと移籍しました。MP4/2Cは、ポルトガルGPにおいて、特別仕様車として「マールボロライト」のPRカラーリングで出走したこともありました。

まとめ

マクラーレンMP4/2とその改良型は、TAGポルシェエンジンの圧倒的なパワー、高度な空力技術、そして優れたドライバーの技量によって、F1の歴史に名を刻むマシンとなりました。このマシンの活躍は、マクラーレンチームの黄金時代を象徴する出来事であり、F1ファンにとって今もなお記憶に残る伝説となっています。これらのマシンは、技術革新とドライバーの挑戦、チームワークの重要性を物語る、F1史に残る名車と言えるでしょう。

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