マクロス・ザ・ライド

『マクロス・ザ・ライド』は、『電撃ホビーマガジン』で2011年1月号から12月号まで連載された、「マクロスシリーズ」の模型作例と小説によるメディアミックス企画です。模型作例の写真と小説の一部が雑誌に掲載され、小説の全文は公式ウェブサイトで公開されるという形式で展開されました。物語はテレビアニメ『マクロスF』の一年前、西暦2058年を舞台としています。

概要

物語の前半は、巨大宇宙移民船団マクロス・フロンティアを舞台に、バルキリーを使ったエアレース「バンキッシュ」の模様が描かれます。後半では、舞台をマクロス・ギャラクシー船団に移し、謎の武装勢力「ファスケス」に立ち向かうバンキッシュレーサーたちの戦いが繰り広げられます。

『マクロスシリーズ』としては初めて、主人公が歌手兼パイロットの女性と設定されている点が特徴です。小説は『マクロスF』のノベライズを手掛けた小太刀右京が担当し、河森正治が監修を務めています。メカニックデザインは天神英貴、ペイントアレンジは宗春、キャラクターデザインはエナミカツミ、Web小説の挿絵はトミイ大塚が担当しています。

雑誌に掲載された模型は、ハセガワやバンダイ、ウェーブから発売されているプラモデルを改造して製作されました。プラモデルが発売されていない機体については、ガレージキットを改造したり、フルスクラッチで製作されたりしています。また、小説のストーリーに登場しないバンキッシュ・レースの機体を紹介するコーナーも設けられています。

単行本はウェブ公開版に大幅な加筆修正を行い、上巻と下巻が刊行されました。また、雑誌に掲載された作例をまとめたビジュアルブックも2冊発売されています。

関連商品として、『電撃ホビーマガジン』とハセガワのコラボレーションにより、作中に登場する「VF-11D サンダーフォーカス」と「VF-11B ノートゥングII」の模型が限定生産されました。さらに、ハセガワのプラモデルを改造したオリジナルの機体を募集するコンテスト「マクロス・ザ・ライドコンクールデレガンス」も開催されました。

あらすじ

西暦2058年、マクロス・フロンティア船団では、バルキリーを使ったエアレース「バンキッシュ」が人気を博していました。アイドル歌手を引退したゼントラーディ人女性、チェルシー・スカーレットは、S.M.Sのパイロットからバンキッシュレーサーに転身し、元軍人のハクナとコンビを組むことになります。

フロンティア船団の選抜パイロット一行は、バンキッシュの最高峰イベント「星天カップ」に出場するため、マクロス・ギャラクシー船団を訪れます。しかし、大会は謎の武装勢力「ファスケス」の襲撃により混乱に陥り、バンキッシュレーサーたちは船団から孤立したエヴナを守るため、義勇航空隊を結成します。

ファスケスの指導者ナレスワンは、チェルシーの歌声を利用して自動兵器工廠衛星を再稼働させようとします。チェルシーはバロータ戦役でプロトデビルンの捕虜となった際、「ソフィアスピリチア」という特殊な資質を秘め持っていました。S.M.S・ギャラクシー・義勇航空隊の混成部隊は、捕らえられたチェルシーを救出するため、突入作戦を仕掛けます。

乱戦の中、アンジェはナレスワンを殺害してファスケスを掌握すると、工廠衛星の無尽の生産力を用いて銀河系を戦乱に陥れようとします。チェルシーはバルキリーでアンジェに一騎打ちを挑み、プロトデビルンの魂を鎮めるため、ゼントラーディ語で祈りの歌を歌います。

登場人物

主要キャラクターは以下の通りです。

チェルシー・スカーレット: 本作の主人公。銀髪のゼントラーディ女性パイロットで、元アイドル歌手。S.M.Sのパイロットを経て、バンキッシュレーサーに転身します。
ハクナ・青葉: チェルシーとコンビを組む凄腕のエアレーサー。元統合軍のパイロットで、過去にチェルシーを救出したことがあります。
マグダレーナ・ツェロナスカ: 「紅の薔薇」と呼ばれる女性バンキッシュレーサー。ハクナに思いを寄せており、チェルシーをライバル視しています。
ニコラス・フランソワーズ・ベルティエ: 10年間バンキッシュのグランドチャンピオンの座を守り続ける「覇王」。
オスカー・ブラウヒッチ: 新星インダストリー・フロンティア支社所属のワークスレーサー。

登場兵器

本作には、様々な可変戦闘機（バルキリー）が登場します。以下に代表的な機体を挙げます。

VF-19ACTIVE ノートゥング
YF-25 プロフェシー
VF-1X++ ダブルプラス
VF-0改ジーク
SV-52γ オリョール
VF-9E カットラス
VF-19A エクスカリバー

その他

『マクロス30 銀河を繋ぐ歌声』には、バンキッシュレースのミニゲームが収録されています。

詳細は、関連書籍や公式サイトをご確認ください。

もう一度検索