マクワウリ

マクワウリ：懐かしい日本のメロン

マクワウリ（真桑瓜）は、ウリ科キュウリ属の一年草で、メロンの変種です。南アジア原産で、日本では古くから栽培されてきました。その歴史は長く、縄文時代の遺跡からも種子が発見されています。かつては「ウリ」といえばマクワウリを指すほど、身近な存在でした。

マクワウリの特徴

マクワウリは、メロンに比べて糖度が低いですが、さっぱりとした甘さが特徴です。果肉はやや硬めで、シャキシャキとした食感が楽しめます。旬は夏で、7月から9月にかけてが最盛期です。かつては安価で手に入る庶民的な果物として親しまれていましたが、近年では西洋メロンの普及や農家の減少により、見かける機会が減っています。

マクワウリの歴史

マクワウリの栽培は、2世紀頃に美濃国（現在の岐阜県南部）の真桑村で始まったとされています。名前の由来もこの真桑村です。『万葉集』にもその名が登場し、古くから日本人に愛されてきたことが伺えます。昭和中期までは、マクワウリが「メロン」として親しまれていました。

マクワウリと西洋メロン

西洋メロンが日本に導入されたのは、大正時代以降です。当初は高級品であり、庶民は安価なマクワウリを主に食べていました。その後、ハネデューメロンやホームランメロンなどのノーネットメロンが登場し、大量生産が可能になったことで、一般家庭でも手軽にメロンを楽しめるようになりました。

マクワウリの利用

マクワウリは、生で食べるのが一般的です。放射状に切ってスプーンですくったり、そのままかぶりついたりして、その風味を楽しみます。また、浅漬けや糠漬けにしても美味しくいただけます。お盆のお供え物としてもよく使われます。

マクワウリには、カリウム、ビタミンC、葉酸などが豊富に含まれています。カリウムは利尿作用があり、高血圧や動脈硬化の予防に効果が期待できます。ビタミンCは美肌効果や免疫力向上に、葉酸は貧血予防に役立つと言われています。

マクワウリの栽培

マクワウリは比較的栽培しやすい作物です。種まきは5月に行い、収穫は6月下旬から8月上旬にかけて行います。連作障害があるため、ウリ科作物を2〜3年作っていない畑で栽培しましょう。日当たりと水はけの良い場所を選び、肥料を十分に与えることが大切です。

マクワウリの品種

マクワウリには多くの品種があり、果皮の色や形も様々です。

緑色系: 味瓜、落瓜、甘露甜瓜、北海甘露など
白色系: 梵天瓜、梨瓜、北海甘味瓜、菊メロンなど
黄色系: 黄まくわ、金瓜、金真桑瓜、金俵甜瓜、銀泉、谷川瓜、南部金甜瓜など
交配品種: プリンスメロン、網干メロン、妻鹿メロン、タイガーメロン、キンショウメロンなど

これらの品種は、地域や栽培方法によって、それぞれ異なる風味や食感を持っています。

地方名

マクワウリは、地域によって様々な名前で呼ばれています。

味瓜：北海道・東北・中国地方
あじゅうり：秋田県
甘瓜：富山県、長野県
甘露：北海道地方
甜瓜、マクワ：東北地方以南
真桑瓜、マクワ：正式名、岐阜県真桑村由来
マッカ瓜：関西地方
メロンウリ：マスクメロンのような香りがあるもの

まとめ

マクワウリは、日本の食文化に深く根ざした、懐かしい味わいの果物です。近年では見かける機会が減りましたが、その独特の風味と食感は、今も多くの人々を魅了し続けています。もし見かけたら、ぜひ手に取って、その美味しさを再発見してみてください。

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