ウリ

ウリとは

ウリという言葉は、狭義にはメロンの東方品種群を指し、広義にはウリ科の果菜類の総称として用いられます。本稿では、この両方の意味合いを踏まえ、ウリについて詳しく解説していきます。

メロンの東方品種群としてのウリ

メロンはインドから北アフリカにかけてが原産で、この地域で食用として栽培化され、ユーラシア大陸全域に伝播しました。日本には縄文時代に伝わったと考えられており、古くから「ウリ（フリとも）」の名で親しまれてきました。中国では「瓜」の漢字が当てられています。

『古事記』や『万葉集』に登場するウリは、マクワウリであると考えられています。その後、ヨーロッパや西アジアから新しい品種が導入されると、それらは「メロン」と呼ばれるようになり、在来品種は「ウリ」として区別されるようになりました。現在では、Cucumis meloの栽培品種の中で、ヨーロッパ系の品種群をメロン、東アジアや中国西域で伝統的に栽培されてきた品種群をウリと呼ぶのが一般的です。

日本では、マクワウリのような生食用の品種の他に、キュウリやシロウリのように、熟しても甘みが少なく、野菜として食べたり漬物にする品種も発達しました。また、未熟なメロンも漬物に使われることがあります。特に、良質なメロンを栽培する過程で摘果された未熟果実は、漬物として消費されることが多いです。

ウリは、原産地である西アジアや北アフリカのような高温乾燥の環境に適していますが、日本で栽培されてきた品種は、日本の気候に適応するよう品種改良が行われ、高温多湿に耐える性質を持っています。そのため、ヨーロッパ系のメロンを日本で栽培できるように、マクワウリと交配したプリンスメロンのような品種も作られています。

海外では、中央アジアの新疆ウイグル自治区で栽培されているハミウリがよく知られています。

ウリ科の果菜類

ウリ科の果菜類は、そのほとんどが水分で構成されていますが、カリウムを多く含み、利尿作用があることが特徴です。一般的に「瓜」という場合は、シロウリかマクワウリを指すことが多いです。

以下に、主なウリ科の果菜類を挙げます。

キュウリ類 (Cucumis属)

メロン (Cucumis melo)
マクワウリ (Cucumis melo var. makuwa)：芳香とさっぱりとした甘みが特徴。プリンスメロンの品種改良の元になった。
シロウリ (Cucumis melo var. conomon)：完熟すると果皮が白っぽくなる。シャキシャキとした食感が特徴で、主に漬物に用いられる。
ハグラウリ：千葉県の郷土野菜。水分が多く柔らかい。
クロウリ
シマウリ (Cucumis melo var. momordica)：八丈島の郷土野菜。甘い香りがするが、果肉は粉っぽく甘みは少ない。
チリメンホソナガウリ (Cucumis melo var. flexuosus)：ヘビメロン、アルメニアキュウリとも呼ばれる。
ハミウリ (Cucumis melo var. inodorus)：中央アジア・哈密（ハミ）の特産。
キュウリ (Cucumis sativus)
キワノ (Cucumis metulifer)：ツノニガウリとも。アフリカ原産。
アカゲウリ：沖縄県の郷土野菜。

その他

きゅうりメロン (Melothria scabra)
スイカ (Citrullus lanatus)
トウガン (Benincasa hispida)
ニガウリ (Momordica charantia)
カボチャ (Cucurbita spp.)
ぺポカボチャ (Cucurbita pepo)
ズッキーニ (Cucurbita pepo)
キンシウリ (Cucurbita pepo)：茹でると果肉が繊維状にほぐれる。
ハヤトウリ (Sechim edule)：別名「千成瓜」。洋ナシのような形。
ヘチマ (Luffa cylindrica)：若い実を食用にする。
トカドヘチマ (Luffa acutangula)：角ばった形が特徴。若い実を食用にする。
ヘビウリ (Trichosanthes cucumerina)：キュウリの仲間であるチリメンホソナガウリと混同されることがある。
ヤサイカラスウリ (Coccinia grandis)：葉も食用になる。
ナンバンカラスウリ (Momordica cochinchinensis)：ニガウリに近い種。
シカナ瓜 (Sicana odorifera)
ユウガオ (Lagenaria siceraria var. hispida)
食用一口ひょうたん (Lagenaria siceraria)：実が小さいうちに収穫して食用にする。
パルワル (Trichosanthes dioica)：カラスウリの食用品種。
アチョクチャ／カイグア (Cyclanthera pedata)：日本国内では沖縄県内で栽培されている。
バクダンウリ (cyclanthera brachystachya)

ウリ科の種子は、海外では人気のある食材として利用されており、種子を採取するための栽培品種も存在します。また、果菜だけでなく葉野菜として利用される品種も多くあります。

文化

ウリは、日本の文化や言葉にも深く関わっています。

うりこひめとあまのじゃく：日本の昔話。
瓜核顔(うりざねがお)：色白で鼻が高く細長い顔のことで、美人を形容する言葉。
瓜に爪あり爪に爪なし：瓜と爪の漢字の覚え方。
瓜の蔓に茄子はならぬ：平凡な親から非凡な子は生まれないことのたとえ。
瓜二つ：兄弟や双子など見た目がそっくりなこと。
瓜田不納履、李下不正冠：疑われるような行動を慎むべきというたとえ。
瓜割の滝、瓜裂の清水：地名や名水。
木瓜紋：家紋の一種。
破瓜：女性の結婚適齢期。
瓜は大名に剥かせよ。柿は乞食に剥かせよ。：それぞれの果物の特性に応じた皮の剥き方。
吃瓜：野次馬のこと。
* 瓜売りが瓜売りに来て瓜売り残し売り売り帰る瓜売りの声：早口言葉。

日本では、かつて土用の丑の日にウナギではなく瓜を食べる風習があり、現在でも奈良漬けがこの時期に店頭に並ぶことがあります。また、一部地域ではきゅうり加持の風習があります。

このように、ウリは食文化だけでなく、言葉や習慣など、日本人の生活に深く根付いていることがわかります。

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