マグナム (バンド)

マグナム (Magnum)

マグナムは、1972年にイングランドで結成されたハードロックバンドです。プログレッシブ・ロックの要素を取り入れた独自のサウンドで、1980年代に人気を博し、メロディアス・ハードロックの代表格として知られています。

歴史

結成からジェット・レコード時代 (1972年 - 1984年)

1972年にボブ・カトレイ (ボーカル) とトニー・クラーキン (ギター) を中心に結成されました。当初はカバー曲を中心に演奏していましたが、1976年にケックス・ゴーリン (ドラムス) とデイヴ・モーガン (ベース) が加入し、バンドの基礎が築かれます。その後、デイヴ・モーガンに代わりウォリー・ロウがベースを務め、リチャード・ベイリー (キーボード) が加入し、よりプログレッシブなサウンドへと進化を遂げました。

1978年、ジェット・レコードからデビューアルバム『キングダム・オブ・マッドネス』をリリース。全英アルバムチャートで58位を記録し、タイトル曲はバンドの代表曲となりました。1979年には2枚目のアルバム『マグナム II』を発表しますが、チャートインはなりませんでした。しかし、同年リリースのライブアルバム『マローダー』が全英34位、ライブシングル「Magnum Live」が全英47位となり、バンドは活動を継続。

1982年、ジェフ・グリックスマンをプロデューサーに迎え制作されたアルバム『チェイス・ザ・ドラゴン』が全英17位を記録し、ハードロックバンドとしての地位を確立。「Soldier of the Line」、「Sacred Hour」、「The Spirit」といった楽曲がコンサートの定番となりました。アルバムのアートワークはロドニー・マシューズが担当。この頃、オジー・オズボーンのサポートアクトとしてアメリカツアーに参加しています。

1983年にはセルフプロデュースのアルバム『ジ・イレヴンス・アワー!』を発表しますが、全英38位に終わり、ジェット・レコードを離れることになります。

商業的全盛期 (1985年 - 1995年)

1985年、FMレコードに移籍し、アルバム『オン・ア・ストーリーテラーズ・ナイト』をリリース。ドラマーがミッキー・バーカーに交代し、黄金期のメンバーが揃いました。このアルバムは全英24位を記録し、ヨーロッパでもセールスを伸ばします。「On a Storyteller's Night」、「Just Like an Arrow」、「Les Morts Dancant」などがコンサートのハイライトを飾りました。この成功により、バンドはポリドール・レコードとの契約を獲得。同年には、ドニントン・パークで開催されたモンスターズ・オブ・ロック・フェスティバルのオープニングアクトに選ばれています。

1986年にはクイーンのロジャー・テイラーを共同プロデューサーに迎え、アルバム『ロンリー・ナイト』を制作。「Vigilante」、「Need a Lot of Love」、「When the World Comes Down」などがコンサートの定番曲となりました。

1988年、アルバム『ウイングス・オブ・ヘヴン』をリリースし、全英5位を獲得。アリーナツアーを行うほどの人気を博します。1990年にはキース・オルセンをプロデューサーに迎えたアルバム『グッドナイトL.A.』を発表し、全英9位を記録しました。

1991年にライブアルバム『The Spirit』をリリースしますが、バンドはポリドールを離れ、1992年にはインディーズレーベルからアルバム『Sleepwalking』を発表。1994年にはアコースティックアルバムと通常のアルバムをリリースしますが、バンドは解散を表明し、解散記念ツアーを行いました。

ハード・レイン時代 (1997年 - 1999年)

ボブ・カトレイとトニー・クラーキンは、バンド「ハード・レイン」を結成しますが、オルタナティブ・ロックの隆盛により、バンドは軌道に乗らず、ボブ・カトレイのソロ活動が成功を収め、バンドは解散しました。

再始動以降 (2001年 - 現在)

2001年、ボブ・カトレイとトニー・クラーキンはマーク・スタンウェイを呼び戻し、ハード・レインに参加していたベーシストのアル・バロウを加え、マグナムを再結成。2002年にアルバム『ブレス・オブ・ライフ』をリリースし、その後ドラマーに元サンダーのハリー・ジェイムズを迎えます。以降、コンスタントに作品をリリースし、精力的に活動を続けています。

2016年、長年メンバーだったマーク・スタンウェイが脱退し、2017年にはハリー・ジェイムズが脱退。リー・モリス (ドラムス)、リック・ベントン (キーボード)が加入。

2018年には新体制で初のアルバム『Lost on the Road to Eternity』を発表。2019年にはアル・バロウが脱退し、後任にデニス・ワードが加入しました。2020年には20枚目のアルバム『The Serpent Rings』、2022年には21枚目のアルバム『The Monster Roars』を発表。

2024年初頭には、創設メンバーのトニー・クラーキンが死去。ボブ・カトレイは「トニーなしでの活動の継続は難しい」としてバンドの解散を宣言しますが、その後撤回。新ギタリストにブレンドン・ライリーを迎え、2025年からクラーキンの追悼ライブで活動を再開することを発表しました。

(2024年10月時点での情報に基づいています)

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