マグヌス5世 (ノルウェー王)

マグヌス5世・エーリングソン：ノルウェー内乱期の王

マグヌス5世・エーリングソン（1156年 - 1184年6月15日）は、ノルウェー王（在位：1161年 - 1177/84年）として、激動の時代を生きました。彼はシグル1世の孫であり、マグヌス4世の甥にあたります。マグヌス5世は、スカンディナヴィアで初めて戴冠式を行った君主として知られ、ノルウェーの王位継承において長子相続を確立させました。しかし、彼の治世は内乱と戦いに彩られ、最終的にはフィムレイテの戦いで命を落とすことになります。

生涯

マグヌス5世は、父エーリング・スカッケと母クリスティン（シグル1世の娘）の間に生まれました。父エーリングは十字軍で名を馳せた豪族であり、マグヌスの幼少期には実権を握り、王国の実質的な支配者として君臨しました。1161年、わずか5歳でノルウェー王となったマグヌスは、戴冠式を経て正式な王となりました。

1166年、シグル・アグンハットとその養子オーラヴ・ウゲーヴァが、マグヌスとエーリングの不在に乗じて反乱を起こしました。オーラヴはエイステイン1世の娘マリア・エイステインスドッテルの息子であり、王位を主張しましたが、エーリングによって鎮圧されました。この反乱は、マグヌスの治世における混乱の一端を示しています。

1177年、シグル2世の庶子と称するスヴェレ・シグルツソンが、民衆の支持を得てノルウェーに上陸し、王位を主張しました。これにより、マグヌスとエーリングの地位は大きく揺らぎました。1179年には、エーリングがカルフスシネの戦いで戦死し、マグヌスはデンマークへ逃亡を余儀なくされました。しかし、マグヌスは再起を期し、再びノルウェーに上陸し戦いを続けましたが、1184年、フィムレイテの戦いでスヴェレの軍に敗れ、戦死しました。

フィムレイテの戦いでは、スヴェレの軍がマグヌスの艦隊を圧倒し、一度に一隻ずつ攻撃して打ち砕きました。戦闘が進むにつれて、マグヌスの艦隊は密集しすぎ、その重さで沈没する船が続出したといわれています。

歴史的背景

マグヌス5世の死は、ノルウェーの内乱期を終わらせるものではありませんでした。その後も、マグヌスの息子と称するシグル・マグヌソン、インゲ・マグヌッソン、エーリング・マグヌッソン・スタインヴェグらが王位を主張し、内乱は続きました。ノルウェーの内乱期は、1130年のシグル1世の死から1240年のスクーレ・ボードソンの死まで、約110年間にわたって続きました。

この期間には、大小さまざまな争いが絶えず、その背景には、ノルウェーの曖昧な継承法、社会情勢の不安定さ、教会と国王の対立などがありました。これらの対立は、当初は無名の集団によるものでしたが、最終的にはバグル党とビルケベイン党という二つの党派による争いへと発展しました。これらの党派は、王の支配に反対する王子たちを党首に据え、互いに王位を争いました。

マグヌス5世の生涯は、ノルウェー内乱期の激しさと複雑さを象徴しています。彼の死後も、内乱は続き、ノルウェーの歴史に大きな影響を与え続けました。


参考文献

百瀬宏 他 『新版 世界各国史 21 北欧史』 山川出版社、1998年
Snorre Sturlason, The Heimskringla: A History of the Norse Kings, vol. 3 (London: Norroena Society, 1907)
Finlay, Alison editor and translator Fagrskinna, a Catalogue of the Kings of Norway (Brill Academic. 2004)
Gjerset, Knut History of the Norwegian People (The MacMillan Company, Volume I. 1915)
* Heggland, Johannes Den unge kongen (Eide Forlag, 1999) (Norwegian)

もう一度検索