マコ (航空機)

マコ（Mako）について

マコ（Mako）は、EADSが手がけた軽戦闘機兼練習機で、名前はマオリ語で「サメ」を意味しています。この機体は、完成を遂げることなく開発が中止されたとされています。マコ HEAT（Mako HEAT）という名称は、高出力高等練習機（High Energy Advanced Trainer）に由来し、技術者たちの間での愛称として親しまれていました。

開発の歴史

マコの開発は1994年に始まり、ダイムラー・エアロスペースのAT-2000プログラムから派生しました。AT-2000は1997年にコンセプト設計を完了し、その後、ユーロジェットEJ200単発エンジンを搭載する計画がありました。南アフリカのデネル・エアロスペース・システムズや韓国の現代宇宙航空とのパートナーシップが模索され、1998年には共同開発の合意が成立しました。

2003年には試作機が完成し、2005年からの生産が予定されていました。また、1999年にはドバイ・エアショーでアラブ首長国連邦とのパートナーシップが結ばれ、開発が進んでいました。2000年、EADSへの統合後にも、開発は引き続き行われ、2025年までに市場における需要は2,500機に達すると予測されていました。

しかし、2002年にはアラブ首長国連邦との了解覚書の更新が行えず、顧客を失ってしまいます。以降の開発も厳しい状況が続き、最終的には2009年にA-346の採用が発表され、マコの開発は事実上断念されたと見なされることになりました。

計画を支えたパートナー

マコの開発を支援するために、いくつかの企業がEADSとアラブ首長国連邦との間で覚書を締結しました。これらの企業には、ロックウェル・コリンズ（ナビゲーションと通信）、BAEシステムズコントロール（飛行制御コンピュータ）、およびスネクマ（エンジン）が含まれています。各社が分担しながらシステムを構築し、軽戦闘機としての能力を最大限に引き出すことを目指しました。

設計に関する技術的特長

マコはステルス性を考慮した設計がなされていました。前方にチャインを持ち、主翼はブレンデッドウィングボディを採用。エアインテークは非直角で、これにより特定の距離から高いステルス性が確保されました。機体はアルミニウムを主体としつつ、可動式尾翼やエアインテークにはカーボンファイバーが用いられました。

また、飛行制御に関しては、X-31に基づく4重の冗長性を持たせたデジタル・フライ・バイ・ワイヤが採用され、アビオニクスシステムはモジュラー化されており、将来のアップグレードが可能な設計となっています。搭乗者は1または2名で、計器パネルはユーロファイター・タイフーンに似たグラスコックピットが装備されていました。

エンジンには、当初はEJ200が予定されていましたが、最終的にはゼネラル・エレクトリックF414が選定されました。このエンジンは、双重のFADECと冗長アクチュエータを整備し、優れた性能を発揮するものでした。

仕様と性能

マコの主な仕様は以下の通りです：

• - 乗員: 2人
• - 全長: 13.75m
• - 全高: 4.5m
• - 翼幅: 8.25m
• - 空虚重量: 5,800kg
• - 最大離陸重量: 13,000kg

性能面では、最大速度はマッハ1.5、航続距離は3,700kmとも言われています。武装に関しては、27mm機関砲（マウザーBK-27）や各種ミサイルが搭載可能であり、多用途に対応できる軽戦闘機として位置づけられていました。

このように、マコは多くの技術が詰まった機体でしたが、開発の最終段階には至らず、その存在意義が問われることとなりました。

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