マザーシャシー

マザーシャシー (Mother Chassis) の概要

マザーシャシーは、SUPER GTの運営団体であるGTアソシエーション（GTA）が手掛けたレーシングカーのシャシーです。このシャシーは、コストを抑えつつも高い性能を追求した設計が魅力で、多くのチームに採用されてきました。略称はMCです。

経緯

2000年代後半から2010年代初頭、SUPER GTのGT300クラスはJAF-GT車両の技術向上によりコストが高騰し、手が届かない存在になっていました。そのため、より安価で購入可能なFIA-GT（グループGT3）車両が増加していったものの、その自由度のなさが問題視されました。マザーシャシーの開発は、こうした状況を受けて、JAF-GT300の中で日本のものづくりが衰退するのを防ぐことを目指して始まりました。

2010年、GTAの代表・坂東正明は、共通のシャシー、エンジン、トランスミッションを提供し、低コストで車両が作成できる仕組みを提案しました。その後の議論を経て、2013年に車両規則が決定されました。

2014年には岡山国際サーキットでのシェイクダウンを経て、10月にはタイでデビューを果たしました。初レースで14位完走し、翌月にはタイスーパーシリーズで初勝利を収めるなど、その実力を示しました。これにより、2015年からの本格的な導入が実現しました。

技術規則

マザーシャシーはJAF-GT300に分類され、共通点が多いですが、いくつかの点で独自性があります。特に重要なのは、モノコック、エンジン、ロールケージ、ディフューザーの全てがワンメイクであるということです。使用されるエンジンは、GTAが販売する「GTA V8」であり、日産のVK45DEエンジンが基とされていると考えられています。

非常に高い剛性を持ちながら、コストや生産上の利点も備えたシャシー設計は、国内で行われており、軽量化と耐久性が求められています。

また、オーバーハングや空力、駆動系など、多くの部分で自由な開発が可能である点も特徴です。特にエンジン搭載位置はフロントまたはミッドシップのどちらも選択できる柔軟さを持っています。

パフォーマンス・戦績

シェイクダウン後、2015年には数回のポールポジションを獲得するなど、デビューイヤーから高いパフォーマンスを発揮しました。特に軽量でタイヤに優しい特性を活かした戦略が功を奏し、多くのレースで首位争いを展開しました。

しかし、エンジンパワーが低いため追い抜きには向かず、運動エネルギー回生システムの禁止も相まって、トラブルが頻発したことが問題視されました。特に高周波振動の影響で車両故障が多く見られ、これが勝率を下げる一因ともなりました。

【参戦チーム】

• - つちやエンジニアリング: 2015年からの主要なチーム
• - TEAM MACH: 2015年から現在まで
• - UPGARAGE: 2015年から2018年まで
• - トヨタ チーム タイランド: 2017年の活躍

現在の状況

近年では、FIA GT3車両を使う他チームとの競争が激化し、性能調整により不利な状況が続いています。特に2017年以降は参加台数が減少し、2020年にはつちやエンジニアリングもGT3に移行する動きが見られました。現在は複数チームが残存し、それぞれの戦績を残しながらも、新たな可能性を模索しています。

まとめ

マザーシャシーは、そのコストパフォーマンスと性能から多くの注目を浴びているレーシングカーです。独自の技術革新と挑戦を通じて、今後の進展が期待されています。

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