マジックマッシュルーム

マジックマッシュルーム（Magic mushroom, shroom）

マジックマッシュルームは、トリプタミン系アルカロイドのシロシビンやシロシンを含有するキノコの俗称です。200種類以上の種が存在し、世界中に広く自生しています。

歴史

古代

先史時代: アルジェリアのタッシリ・ナジェールの壁画には、キノコを持つ踊り子が描かれており、幻覚性キノコを用いた儀式が行われていた可能性が示唆されています。
先コロンブス期: アステカ帝国では「テオナナカトル（神のキノコ）」と呼ばれ、宗教儀式や病気の治療に用いられていました。現在でも、原住民の間で伝統的な使用が続いています。

近代

1917年: 日本の菌類学者、川村清一がワライタケの中毒症状を確認しました。
1950年代: アメリカの研究者、ロバート・ゴードン・ワッソンらがメキシコでマジックマッシュルームを用いた儀式に参加し、西洋に広く紹介しました。
1959年: アルバート・ホフマンが幻覚成分を特定し、シロシビンとシロシンと命名しました。

成分と効果

主な成分

シロシビン: 体内でシロシンに変換され、幻覚作用を引き起こします。
シロシン: 幻覚作用の本体であり、セロトニン受容体に作用します。

効果

精神的な効果: 多幸感、感情の高まり、視覚の変化、思考の変化などが現れます。セット（精神状態）とセッティング（環境）によって体験が大きく左右され、不快な体験（バッドトリップ）を引き起こす可能性もあります。
身体的な効果: 脱力感、悪寒、瞳孔散大、吐き気などが現れることがあります。

法規制

国際的な規制

1971年の向精神薬に関する条約で、シロシビンが規制対象となりましたが、キノコ自体は規制対象外です。各国の法律によって規制状況が異なります。

日本の規制

2002年から、シロシビンを含有するキノコ類が麻薬及び向精神薬取締法によって規制されています。所持・使用は禁止されていますが、胞子の所持は合法です。

各国の規制状況

オランダ: かつては合法でしたが、現在はマジックマッシュルームの販売は禁止されています。マジックトリュフ（菌核）は合法的に販売されています。
アメリカ: 連邦法では所持が禁止されていますが、一部の地域では非犯罪化されています。
チェコ: マジックマッシュルーム（40本以下）の所持・栽培が軽犯罪として罰金を課されるのみです。
オレゴン州: 2020年11月、シロシビンマッシュルームサービスプログラム（第109法案)が可決され、監督下で使用するために合法化されました。
コロラド州: 2022年11月、サイケデリックな植物と菌類を合法化する法案122が過半数を獲得、2026年に運用の為の制度が出来上がる予定です。

種類

マジックマッシュルームは、主に以下の属に分類されます。

シビレタケ属 (Psilocybe): 幻覚性を持つ種が多く、約400種のうち1/4が幻覚性です。
ヒカゲタケ属 (Panaeolus): 草食動物の糞に生育する種が多く、約100種のうち1/10が幻覚性です。
ワライタケ属 (Panaeolus)
オオワライタケ属 (Gymnopilus)

代表的な種類

ミナミシビレタケ (Psilocybe cubensis): 熱帯・亜熱帯地域に広く分布し、栽培も容易です。
リバティーキャップ (Psilocybe semilanceata): ヨーロッパを中心に分布し、シロシビン含有量が高いことで知られています。
ワライタケ (Panaeolus papilionaceus)：世界中に分布し、草食動物の糞に発生します。
オオワライタケ (Gymnopilus junonius)：木の株に生える大型のキノコです。
* ヒカゲシビレタケ (Psilocybe argentipes)：日本に自生する種で、公園や道端など身近な場所にも発生します。

栽培

マジックマッシュルームは、適切な環境を整えることで自宅で栽培することも可能です。殺菌処理された培地で菌糸を育て、適切な温度・湿度を保つことで、数週間で収穫できます。乾燥させて保存することで、長期間保存できます。

研究

近年、シロシビンのうつ病や薬物依存症に対する治療効果が研究されています。強迫性障害に対する効果も基礎研究されており、今後の医療応用が期待されています。

注意点

マジックマッシュルームの摂取は、法規制を遵守し、自己責任で行う必要があります。精神状態や環境によっては、不快な体験を引き起こす可能性があるため、慎重な判断が必要です。また、誤って毒キノコを摂取する危険性もあるため、専門家の指導を受けることが望ましいです。

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