マタギ (映画)

映画『マタギ』解説

『マタギ』は、1982年1月25日に公開された青銅プロダクション制作の日本映画。
戦後の第一次独立プロ運動の一翼を担った青銅プロダクションが、長年培ってきた映画製作のノウハウを注ぎ込んだ作品です。老マタギと孫の愛情、そして巨大熊との対決という普遍的なテーマを、日本の美しい山村を舞台に描いています。

概要

本作は、厳しい自然の中で生きるマタギの姿を通して、人間と自然の関係、そして家族の絆を描いた作品です。特に、老マタギ・関口平蔵と孫・太郎の心の交流は、観る者の心を温かくします。

1983年の毎日映画コンクールでは、関口平蔵を演じた西村晃が男優演技賞を受賞。また、ベルリン国際映画祭では、後藤俊夫監督がユニセフ選外佳作賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。
2008年には、東京国際映画祭の日本映画・ある視点部門で上映され、再び注目を集めました。

ストーリー

物語は、老マタギ・関口平蔵が、かつて巨大熊に襲われた過去を持つことから始まります。顔に残る熊の爪痕は、彼の武勇伝を物語る証ですが、人々は平蔵の話を法螺話だと信じません。孫の太郎は、そんな祖父を誇りに思い、愛犬「チビ」を立派なマタギ犬に育てようと奮闘します。

秋が深まり、熊による被害が多発する中、ついに人命が奪われる事件が発生。被害者の母親から仇討ちを懇願された平蔵は、再び山に入る決意をします。チビを連れた平蔵に、太郎も同行を願い出ますが、平蔵は太郎の身を案じ拒否します。しかし、太郎の強い意志に根負けした平蔵は、ついに太郎と共に山へ。

そして、ついに平蔵は、宿敵である巨大熊との対決を迎えます。長年の経験と勘を頼りに、平蔵は熊を追い詰めますが、熊もまた、平蔵に牙を剥きます。果たして、平蔵は無事に熊を仕留めることができるのでしょうか。

スタッフ

監督: 後藤俊夫
製作総指揮: 小島義史
プロデューサー: 桜井勉
原作: 後藤俊夫
脚本: 大和屋竺、後藤俊夫
音楽: 羽田健太郎
撮影: 山崎堯也

キャスト

関口平蔵: 西村晃
太郎: 安保吉人
姉・より子: 林優枝
父・岩吉: 山田吾一
警官: 伴淳三郎
* 吉村角次: 伊沢一郎

ロケ地

映画のロケは、秋田県の阿仁町（現在の北秋田市）で行われました。阿仁町は、豊かな自然に恵まれた場所で、マタギ文化が色濃く残っています。そのため、本作では、阿仁町の美しい風景や、マタギの生活様式がリアルに描かれています。

阿仁町を舞台にしたマタギ映画としては、他に『イタズ 熊』(1987)があります。

『マタギ』は、自然の厳しさ、家族の絆、そして人間の生き様を描いた感動的な作品です。ぜひ一度、ご覧ください。

もう一度検索