マタンゴ

映画『マタンゴ』の詳細

今回紹介するのは、1963年に公開された日本の特撮ホラー[[映画]]『マタンゴ』です。本作は東宝が製作し、同時上映には青春映画『ハワイの若大将』がありました。この映画は、ウィリアム・H・ホジスンの海洋綺譚『夜の声』を原作にしており、無人島を舞台に人間の本性やエゴイズムが描かれています。変身人間シリーズの番外編的な位置付けですが、独特なストーリーと映像表現が多くの観客に影響を与えてきました。

概要と評価

『マタンゴ』は、極限状態に置かれた人間の心の動きを描く作品として、特に俳優陣の熱演が高く評価されています。奇談や怪談の要素を持ちながらも、明るい青春映画とのギャップがあるため、観客に強い印象を残しています。そのため、今日でもSFやホラー[[映画]]愛好家の間で語り継がれ、カルト的な存在としても知られています。特に「世界の珍妙ホラー[[映画]]ベスト5」の第3位にも選ばれ、監督の本多猪四郎は、自身の代表作の一つと位置付けています。

興行と公開

興行的には成功とは言えないものの、製作の田中友幸は雰囲気作りに成功したと振り返っています。しかし、特撮映画の売り方として怪獣[[映画]]と混同された結果、大衆には受け入れられなかったという事情もあります。1963年7月には、別の映画の劇場予告編に本作の告知が追加されていましたが、アメリカでは劇場公開は実現せず、テレビでのみ放送されました。近年では、2016年にイタリアで特集上映され、2022年には4Kデジタルリマスター版も制作されるなど、その評価は持続しています。

あらすじ

映画は、東京の病院に収容された青年・村井研二が恐怖の体験を語るところから始まります。彼は友人たちと共にヨットで海に出かけ、嵐に遭遇して無人島に漂着します。島はキノコに覆われ、波打ち際には難破船が残されていました。その中で見つけた日誌には「キノコを食べるな」との警告があり、絶望的な状況の中で段々と欲望が心を蝕んでいく様が描かれます。仲間たちはお互いを裏切り始め、ついには禁断のキノコに手を出してしまうのです。村井は辛うじて島を脱出しますが、彼が見たものは衝撃的でした。

マタンゴの正体

劇中で描かれるマタンゴは、「どこかの国の水爆実験によって変異したキノコを食した人間の成れの果て」と設定されています。マタンゴを食べた人は、次第に知性を失い、怪物へと変わってしまいます。この変異の過程は恐ろしいものですが、怪物としてのマタンゴは、依然として人間の部分を残している点が印象的です。作品は、キノコが自生する霧に覆われた島の不気味な雰囲気を巧みに表現しており、その環境が登場人物たちの性格や心情に影響を与えていく様子が描かれています。

デザインと造型

『マタンゴ』のデザインは小松崎茂が手がけ、特撮の管轄は利光貞三が担当しました。スーツはラテックス製で、見た目には光を反射する工夫がされており、恐怖感を演出しています。当時の技術を駆使し、キノコの成長や怪物の造形がリアルに表現され、観客に恐怖感を与えました。

映像ソフトと評価

『マタンゴ』はLDやVHS、DVD、Blu-rayなど多くの媒体でリリースされており、世代を超えて鑑賞され続けています。主演の久保明や水野久美など多くのキャストが、撮影を楽しい経験として語っています。このように、作品は地域や世代を超えて根強い人気を誇り、歴史に残る特撮映画として位置づけられています。映画監督や評論家からも高い評価を受け続けており、その影響は今なお色あせることがありません。

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