マックスバリュ名古屋

イオングループの一員として、愛知県名古屋市を中心にスーパーマーケット事業を展開していた「マックスバリュ名古屋株式会社」は、ごく短い期間のみ存在した法人です。その歴史は、前身である「ナフコはせ川」時代を含め、地域に根ざした展開を見せました。

沿革

会社の起源は古く、1950年10月に名古屋市東区の矢田市場内で創業した塩乾物商「長谷川商店」に遡ります。その後、1953年7月には法人化され有限会社はせ川が設立され、さらに1968年7月には株式会社はせ川フードセンターへと組織を変更しながら事業を拡大しました。

地域に根ざした店舗網を築くため、1969年1月には、全国の独立系スーパーマーケットが集まるボランタリー・チェーン「協同組合ナフコチェーン」に加盟しました。これにより、店舗名は「ナフコ」として展開を進めることとなります。社名についても、1983年8月には株式会社はせ川へ、そして1989年7月には株式会社ナフコはせ川へと変更し、ナフコチェーンの一員としての立場を明確にしました。

イオングループ傘下へ、そして短期での終焉

2006年、株式会社ナフコはせ川に大きな転機が訪れます。同年5月、経営状態が債務超過にあった同社は、同じくイオングループに属するスーパーマーケット事業会社、マックスバリュ中部株式会社の完全子会社となりました。これは、事実上無償に近い形での取得でした。

子会社化に伴い、長年の加盟先であったナフコチェーンから2006年6月に脱退。そして、同年7月1日には社名を「マックスバリュ名古屋株式会社」へと改称し、展開する全19店舗の名称もイオングループの主要ブランドである「マックスバリュ」に変更しました。新たな屋号のもと、同年7月3日より営業を開始します。

マックスバリュ名古屋としての事業期間は極めて短く、わずか1年強でした。この短い期間中、クレジットカードやマックスバリュ独自のポイントカードの導入など、イオングループとしてのサービスを店舗に展開しました。しかし、親会社の事業再編の一環として、2007年10月にはマックスバリュ中部株式会社に吸収合併され、法人としての歴史に幕を下ろしました。

店舗展開とその後の行方

マックスバリュ名古屋が運営していた店舗は、吸収合併された時点で19店舗でした。これらの店舗は、愛知県内、特に名古屋市内の北部や東部地域に集中的に展開されており、中心部や南部の区には店舗がないという特徴が見られました。最も店舗数が多かったのは名東区で、6店舗を数えました。

これらの旧マックスバリュ名古屋の店舗は、マックスバリュ中部への合併後も、イオングループ内のその後の組織再編を経て、一部がマックスバリュ東海やイオンビッグの店舗として存続しています。

マックスバリュ東海が運営を引き継ぎ、現在もマックスバリュとして営業を続ける店舗には、名東区の一社店（一時閉店・再出店あり）や香流店、東区の代官店、千種区の今池店（業態転換を経てマックスバリュに再転換）、昭和区の御器所店や川原店などがあります。

一方、ディスカウント業態「ザ・ビッグエクスプレス」に転換後、イオンビッグに移管され現在も営業している店舗もあります。これには、北区の味鋺店、守山区の花ノ木店、中川区の五女子店や荒子店などが含まれます。これらの店舗は、「バリューセンター」への一時的な転換を経て、「ザ・ビッグエクスプレス」に再度転換された経緯を持つものも存在します。

マックスバリュ名古屋や、その事業を引き継いだマックスバリュ中部時代に閉店した店舗も多数存在します。マックスバリュ名古屋時代には、千種区の茶屋ヶ坂店が閉店しました。マックスバリュ中部時代には、西区の菊井店、瀬戸市の瀬戸店、北区の如意店、尾張旭市の本地店、名東区の引山店、猪高店、藤が丘店、高針店、中村区の向島店などが閉店しました。これらの店舗の跡地には、他のスーパーマーケットやドラッグストア、書店、マンション、ホテルなど、様々な施設が開業しています。また、ナフコはせ川時代にも、名古屋市東区の筒井21店や矢田店、昭和区の杁中店、名東区の牧の原21店、千種区の東山店などが閉店しています。

マックスバリュ名古屋