マッケレル級潜水艦

マッケレル級潜水艦

マッケレル級潜水艦は、アメリカ海軍で用いられた潜水艦の艦級であり、第二次世界大戦中に2隻が建造されました。この艦級は、ポーパス級からタンバー級潜水艦に至る一連の艦船シリーズの中で、艦隊型潜水艦の時代を迎え入れる重要な役割を果たしました。一方で、従来の小型潜水艦であるO級、R級、S級も依然として運用されており、これらの艦艇が徐々に除籍される中で、新たな艦隊型潜水艦が導入されることになりました。

このマッケレル級の計画は、1939年度において試作艦の一部として、予算上の理由から2隻が建造されることとなりました。マッケレル級は、造船所による比較をもとに設計され、ポーツマス海軍造船所とエレクトリック・ボート社がそれぞれ建造を手掛けました。その結果、両艦は「同一形式」の艦でありながらも、形状や性能において大きな相違が見られました。特に、兵装と電池を除き、船体のサイズや航続距離は異なり、設計上の挑戦を象徴しています。航続距離については、燃料搭載量がカシャロット級潜水艦の3分の1であっても、驚異的な航続力を実現しました。

しかし、就役後の実際の運用では、潜航にかかる時間や安全深度の不足、居住性の低さから艦隊内での評価は芳しくありませんでした。特にUボートとの比較において、性能差が大きかったこともあって追加建造は行われず、この艦級は結局のところ2隻での建造で終わりました。

戦歴と改装

マッケレル級潜水艦も他の艦船同様、太平洋戦争中に艦橋の形状の改装やレーダー、機銃の追加装備が行われました。しかし、実際に太平洋戦域に出撃することはなく、ニューロンドンを母港として訓練や各種実験任務に従事しました。特にマッケレル艦は僅かに敵艦との接触の機会がありましたが、戦果を挙げることはありませんでした。

また、艦隊型潜水艦の艦長候補者の実地訓練にも利用され、カスコ湾やロング・アイランド海峡、ナラガンセット湾、チェサピーク湾などで実戦に近い訓練が積まれました。目標艦としてはニューポートを母港とする駆逐艦が使われ、浮上攻撃の演習も昼夜を問わず行われる中で、戦術の習得がなされました。この経験が後に生かされた艦長たちは、後の太平洋戦域で日本艦船を効果的に攻撃し、真っ向からの戦闘においても成功を収めました。

マッケレル級は直接的な戦果はなかったものの、間接的にアメリカ潜水艦隊に多大な貢献を果たしました。戦争終結後、両艦はともに除籍され、その歴史を閉じました。潜水艦の詳細な艦歴については、それぞれの艦の記録を参照することができます。

関連項目

• - アメリカ海軍艦艇一覧

参考文献

• - J・F・エンライト/J・W・ライアン、千早正隆監修、高城肇訳『信濃！日本秘密空母の沈没』光人社NF文庫、1994年
• - 世界の艦船編集部『世界の艦船2000年4月号増刊No.567 アメリカ潜水艦史』海人社、2000年
• - 大塚好古「米海軍「艦隊型潜水艦」の完成型シリーズ」「太平洋戦争時の米潜の戦時改装と新登場の艦隊型」『歴史群像太平洋戦史シリーズ63 徹底比較 日米潜水艦』学習研究社、2008年

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