マッケンゼン級巡洋戦艦

マッケンゼン級巡洋戦艦：幻に終わったドイツの艨艟（もうどう）

マッケンゼン級巡洋戦艦は、ドイツ帝国海軍が第一次世界大戦中に建造を計画した巡洋戦艦です。同型艦は「マッケンゼン」「プリンツ・アイテル・フリードリヒ」「グラーフ・シュペー」「フュルスト・ビスマルク」の4隻でしたが、いずれも完成することはありませんでした。

設計と特徴

本級は、先行するデアフリンガー級巡洋戦艦の発展型として設計されました。基本設計を踏襲しつつ、より強力な火砲と防御力を備えることが目指されました。

主砲：新設計の45口径35cm連装砲を4基搭載。デアフリンガー級の30.5cm砲から大幅な強化が図られました。当初は38cm砲の搭載も検討されましたが、重量増加を考慮して見送られています。
船体：基準排水量は31,000トン、満載排水量は35,300トン。デアフリンガー級よりも大型化され、主砲塔の重量増加に伴う重心上昇を抑えるため、副砲の位置が第一甲板上に移されました。

建造とその後

当初は7隻の建造が計画されましたが、後の3隻はヨルク代艦級として設計が変更されました。1917年には「マッケンゼン」と「グラーフ・シュペー」が進水しましたが、戦況の悪化により、建造は中断され、結局すべての艦が未完成のまま終戦を迎えることになりました。

連合国側は、ドイツ海軍の状況を正確に把握していなかったため、戦後の賠償艦リストに「マッケンゼン」を含めていました。そのため、代わりにバイエルン級戦艦が引き渡されることになり、マッケンゼン級の船体は1921年から1924年にかけて解体されました。

幻の戦艦

マッケンゼン級巡洋戦艦は、第一次世界大戦の激化の中で、ドイツ海軍の戦力増強を目指して建造されましたが、時代の波に翻弄され、その姿を戦場に現すことはありませんでした。しかし、その設計思想や技術は、後のドイツ海軍艦艇に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

参考資料

世界の艦船増刊第26集　ドイツ戦艦史(海人社)

関連項目

ドイツ海軍艦艇一覧

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