デアフリンガー級巡洋戦艦

デアフリンガー級巡洋戦艦：ドイツ帝国海軍の誇り

デアフリンガー級巡洋戦艦は、ドイツ帝国海軍が建造した巡洋戦艦の艦級であり、同型艦は「デアフリンガー」「リュッツオウ」「ヒンデンブルク」の3隻です。ドイツ海軍では大型巡洋艦に類別されていました。

開発の経緯と特徴

本級は、先行する「ザイドリッツ」級の拡大発展型として計画されました。1911年度予算で2隻、1912年度予算で1隻が追加され、1912年から1913年にかけて起工されました。

設計は刷新され、船体は平甲板型を採用しつつ、凌波性確保のためシアを付与。機関は重油と石炭の混焼缶を採用しました。特筆すべきは、ドイツの巡洋戦艦として初めて30.5cm砲を採用した点です。さらに、全ての主砲塔を艦の中心線上に配置することで、射界を確保しつつ、主砲塔数を削減。その結果、軽量化された分の重量を装甲の強化と防御区画の拡大に充当し、防御能力は初期の弩級戦艦に匹敵するレベルに達しました。

艦形

重心上昇を抑えるため、船体は平甲板型を採用。乾舷を低く抑える代わりに、艦首にシアを設け、凌波性を確保しています。カットオフ型の艦首は前級から引き継がれました。
同時期のドイツ戦艦と同様に、マストは単脚構造で、基部付近の艦橋上に測距儀などを配置した射撃指揮所が設けられました。

副砲の15cm砲は、波浪の影響を受けにくい最上甲板の側面にケースメイト配置で、片舷7基ずつ計14基が搭載されました。ただし、1番艦「デアフリンガー」のみ、船体中央部に減衰タンクを設けた関係で、15cm砲が2基少ない12基となっています。

ユトランド沖海戦後には、遠距離砲戦に対応するため、主砲仰角の引き上げ、前部マストの三脚化、射撃指揮所の設置、測距儀の増設などの改装が行われました。

主砲とその他の武装

主砲は、1911年型 SK L/50 30.5cm（50口径）砲を採用。最大仰角13.5度で、405.5kgの砲弾を16,200m先まで届かせることができました。1914年の改装で仰角が16度まで引き上げられ、射程は20,400mに延伸されました。

副砲は、1908年型 SK L/45 15cm（45口径）砲を採用。最大仰角20度で、45.3kgの砲弾を14,900m先まで届かせることができました。

防空用として、8.8cm（45口径）単装高角砲が2基から4基搭載されました。水雷兵装として、60cm水中魚雷発射管を4基装備していました。

機関と防御

機関は、シュルツ・ソーニクロフト式または海軍型ボイラーと、パーソンズ式タービンを組み合わせたものでした。「デアフリンガー」と「リュッツオウ」は63,000馬力で26.5ノット、「ヒンデンブルク」は72,000馬力で27ノットの速力を発揮しました。

防御方式は、「ザイドリッツ」級から引き続き、艦体の水線部を広範囲に防御する全体防御方式を採用。水線部は最厚部で300mmの装甲が施されました。甲板防御は二層構造で、上甲板は50mm、主甲板は30mm（傾斜部は50mm）でした。

艦歴

「デアフリンガー」は1914年に就役し、ドッガー・バンク海戦やユトランド沖海戦に参加。「リュッツオウ」もユトランド沖海戦に参加しましたが、甚大な損傷を受け自沈しました。「ヒンデンブルク」は建造期間が延長され、1917年に就役。第一次世界大戦後、「デアフリンガー」と「ヒンデンブルク」はイギリスに拘留され、1919年にスカパ・フローで自沈しました。

同型艦

デアフリンガー (Derfflinger)
リュッツオウ (Lützow)
* ヒンデンブルク (Hindenburg)

まとめ

デアフリンガー級巡洋戦艦は、ドイツ帝国海軍の主力艦艇として、第一次世界大戦で活躍しました。その革新的な設計と強力な武装は、後の巡洋戦艦に大きな影響を与えました。

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