マツペン

マツペン（MATZPEN）

マツペン（ヘブライ語: מצפן）は、イスラエルの新左翼政治団体であり、反資本主義と反シオニズムの立場を強く掲げていました。その正式な名称は「イスラエル社会主義機構」（Israel Socialist Organization）ですが、同組織が出版していた月刊誌『マツペン』の影響から、この名称で広く知られています。

起源と設立

マツペンは1962年に設立され、元々はイスラエル共産党の一部のメンバーによって形成されました。設立の背景には、ソ連の保守的な外交政策に対する異議がありました。彼らはイスラエルの建国を支持する一方で、領土の拡大には反対という立場を取っていました。このような背景から、彼らはイスラエル共産党よりも一歩先を行く急進的な「反シオニズム」のイデオロギーに則り、多様な思想を受け入れる組織を作り上げました。トロツキズム、アナキズム、マオイズムといった異なる思想の持ち主が共同で活動することが特徴でした。

分裂と組織の衰退

しかし1970年になると、マツペンは思想的および組織的に解体の道を歩み始めました。当時のメンバーの中には、メナヘム・カルミやシルヴァイン・キベルらトロツキストが新たな団体を設立し、イラン・ハレヴィら毛沢東主義者も独自の組織を持つようになりました。1972年にはエルサレム支部のメンバーが中心となり、イスラエル革命的共産主義者同盟を結成し、第四インターナショナルに加盟しました。

これに伴い、マツペンの影響力は次第に弱まっていき、主要メンバーであったハイム・ハネグビは、彼らの活動には「ほんの少数の人々しかいなかった」と振り返っています。このような状況から、資金不足や組織力の欠如が原因として挙げられています。最終的には、マツペンは解散という形を迎えましたが、組織に関わる人々のネットワークから派生した新しい団体は現在も活動を続けています。

現在の状況

現在、マツペンの活動から派生した組織には「イェシュ・グヴール」（Yesh Gvul）や「オルタネィティブ・インフォメーション・センター」（AIC）があり、これらはイスラエル国内で引き続き運動を展開しています。さらに、クネセト内で最も反シオニズムの立場を取るアラブ系政党「バラド」と、マツペンに所属していたメンバーとの交流も見られます。

主要メンバー

マツペンの主要な構成員には、後にAICの代表となったミシェル・ワルシャウスキー、マツペンの創設者であるモーシェ・マホーベル、詩人としても知られるイツハク・ラオールなどが著名です。また、アキバ・オルやハイム・ハネグビも、その活動の中心的人物として知られています。

類似する組織

マツペンに類似する組織として、国内のユダヤ人アナキストたちによって構成される「アナキスト・アゲンスト・ザ・ウォール」（Anarchists Against the Wall）や、イギリスで活動を行うユダヤ人のパレスチナ支援団体「ジューズ・フォー・ジャスティス・フォー・パレスティニアンズ」（Jews for Justice for Palestinians）などがあります。

関連項目

日本においても、マツペンには広河隆一というフォトジャーナリストが関わっており、またハイム・ハネグビとパレスチナの武装組織であるDFLPの指導者との会談も行われています。これらのつながりは、マツペンがもたらした影響が国際的にも広がっていることを示しています。外部リンクや関連するドキュメンタリーも多数存在し、今なおその活動が注目を集めています。

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