マティルデ・フォン・シュヴァーベン (988-1032)

マティルデ・フォン・シュヴァーベン：激動の時代を生き抜いた女性

マティルデ・フォン・シュヴァーベン（988/9年 - 1032年7月29日）は、中世初期の神聖ローマ帝国において、ケルンテン公妃、そして上ロートリンゲン公妃として生きた女性です。彼女は単に貴族の妻としてだけでなく、政治的な影響力も持ち、息子コンラート2世をローマ王位に就けるために奔走したことで知られています。彼女の生涯は、当時のヨーロッパ社会における権力闘争と、女性の役割の一端を垣間見せてくれます。

生い立ちと結婚

マティルデはシュヴァーベン公ヘルマン2世と、ブルグント王コンラートの娘ゲルベルガの間に生まれました。彼女は父を通してリウドルフィング家、母を通して西フランク王家という、由緒ある血筋を引いていました。1002年に神聖ローマ皇帝オットー3世が亡くなると、父ヘルマン2世は王位を狙い、バイエルン公ハインリヒ4世と対立しました。マティルデの最初の結婚は、1001/2年ごろにザーリアー家のケルンテン公コンラート1世との間で行われました。この結婚は、父ヘルマン2世の王位獲得を支援する目的もあったと考えられています。しかし、近親婚であったため、ローマ王ハインリヒ2世（かつての王位を争った相手）から糾弾されるという騒動もありました。

政治への関与

夫コンラート1世の死後、マティルデは息子コンラート2世のケルンテン公位継承を望んでいましたが、ハインリヒ2世によって阻まれます。その後、息子はザーリアー家のコンラート2世（後の皇帝）の庇護下に入り、マティルデ自身もコンラート2世夫妻と良好な関係を築きました。1012/3年ごろには、バル伯フリードリヒ2世と再婚し、上ロートリンゲン公妃となります。1024年にハインリヒ2世が亡くなると、息子コンラート2世と義理の息子コンラート2世が王位を争うことになります。最終的に義理の息子がローマ王に選出されますが、マティルデは息子を支持し、新王に抗議しました。

ポーランドとの交渉

マティルデは息子のために、なりふり構わず行動しました。1025年から1027年にかけて、ポーランド王ミェシュコ2世との交渉を開始します。当時、ローマ王コンラート2世はミェシュコ2世のポーランド王位を認めておらず、対立関係にありました。マティルデはミェシュコ2世に貴重な典礼写本を贈り、彼を支援することで、コンラート2世に対抗しようとしました。この写本には、マティルデからミェシュコ2世への手紙が添えられており、彼女がミェシュコ2世を高く評価し、その力を期待していたことがうかがえます。この贈り物には、ミェシュコ2世に軍事行動を起こさせるという効果をもたらしました。

その後

1030年までに、マティルデはドイツ王コンラート2世と再び良好な関係を築いたとみられています。彼女は1030年の復活祭にインゲルハイムの帝国会議にコンラート2世夫妻とともに出席しました。1035年には、コンラート2世が息子コンラート2世にケルンテン公領を与えています。

『Annalista Saxo』によると、マティルデは1026年ごろにバレンシュテット伯エジコと3度目の結婚をしたとされています。マティルデは1030年の復活祭以降、1034年1月以前に死去しました。彼女はヴォルムス大聖堂に埋葬されました。

子女

マティルデは3度の結婚で多くの子をもうけました。最初の夫ケルンテン公コンラート1世との間には、ケルンテン公コンラート2世、ヴュルツブルク司教ブルーノをもうけました。2番目の夫上ロートリンゲン公フリードリヒ2世との間には、バル女伯ゾフィア、上ロートリンゲン公フリードリヒ3世、トスカーナ辺境伯妃ベアトリクスをもうけました。3番目の夫バレンシュテット伯エジコとの間には、バレンシュテット伯アーダルベルト2世、アデライーデをもうけました。

マティルデ・フォン・シュヴァーベンは、激動の時代を生き抜き、その政治的な手腕と外交力で歴史に名を残した女性です。彼女の生涯は、中世ヨーロッパの社会と権力構造を理解する上で、重要な手がかりを与えてくれます。

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