マドレーヌ・ド・フランス (ビアナ公妃)

マドレーヌ・ド・フランス、またはマドレーヌ・ド・ヴァロワ（1443年12月1日 - 1495年1月21日）は、フランス王シャルル7世と王妃マリー・ダンジューの娘として生まれました。

生涯

フランス中部のトゥールで生まれたマドレーヌは、幼い頃から政略結婚の道具として扱われました。当初はハプスブルク家当主であるボヘミアとハンガリーの王、そしてオーストリア公であったラディスラウスと婚約しましたが、ラディスラウスは1457年に白血病で若くして亡くなりました。

その後、1461年にフォワ伯ガストン4世とナバラ王女レオノール（のちのナバラ女王）の長男であるビアナ公ガストンと結婚しました。この結婚により、マドレーヌはフォワ伯家の一員となり、2人の間には以下の1男1女が生まれました。

フランソワ（1466年 - 1483年） - ナバラ王
カトリーヌ（1468年 - 1518年） - ナバラ女王

しかし、マドレーヌの人生は平穏なものではありませんでした。1470年に夫のビアナ公が亡くなり、義父であるフォワ伯ガストン4世も1472年に死去しました。さらに、1479年にはアラゴンとナバラの王であったレオノールの父フアン2世が亡くなり、ナバラ王位を継いだレオノールもわずか3週間余りで死去するという不幸が続きました。

レオノールの死後、マドレーヌの息子フランソワが祖父の死後にフォワ伯を、祖母の死後にナバラ王を継承することになりました。しかし、フランソワはまだ若年であったため、マドレーヌが摂政として政治を担うことになりました。しかし、フランソワも1483年に早世してしまいます。これにより、妹のカトリーヌが王位を継承することになり、マドレーヌは引き続き1494年まで摂政を務めることになりました。

摂政期間中、マドレーヌは困難な状況に直面しました。亡夫の弟であるナルボンヌ子爵ジャン・ド・フォワ（アラゴン王妃ジェルメンヌとフランスの将軍ヌムール公ガストンの父）がナバラ王位の継承権を主張し、国内は不安定な状況に陥りました。ジャンは王位を主張したものの、最終的にカトリーヌが王位を継承しました。

1494年、マドレーヌはナバラの獲得を狙うアラゴン王フェルナンド2世（レオノールの異母弟）に人質として捕らえられました。そして翌1495年、パンプローナで亡くなりました。マドレーヌの死は、ナバラにおける新たな争乱の火種となり、その後の歴史に大きな影響を与えることになりました。

マドレーヌ・ド・フランスは、フランス王女として生まれながらも、政略結婚、夫や息子との死別、そして摂政としての活躍、人質としての悲劇的な死を経験した波瀾万丈な生涯を送った女性でした。彼女の生涯は、当時のヨーロッパの政治情勢や王侯貴族の複雑な人間関係を色濃く反映しています。

もう一度検索