マナサス (装甲艦)

CSSマナサス：南軍最初の装甲艦

南北戦争において、アメリカ連合国海軍（南軍海軍）に所属した装甲艦CSSマナサスは、南軍が建造した最初の装甲艦として知られています。その艦名は、南軍が勝利を収めた第一次マナサスの戦いに由来しています。マナサスは、その革新的な設計と数々の戦闘における活躍から、南北戦争史において重要な艦艇として位置づけられています。

艦の誕生：タグボートからの変貌

マナサスの艦歴は、1855年にマサチューセッツ州メドフォードで建造されたタグボート「エコー・トレイン」から始まります。南北戦争勃発後、エコー・トレインは南軍の私掠船「CSSアイビー」に拿捕され、その後、ニューオーリンズの委託販売人ジョン・スティーブンソン船長によって購入されました。ルイジアナ州アルジェーにおいて、エコー・トレインは衝角艦へと大胆に改造され、アメリカ連合国最初の装甲艦として生まれ変わったのです。

画期的な装甲と低い船体

マナサスの最大の特徴は、その装甲と低い船体でした。喫水線より上部は、1.25インチ厚の曲面に加工された鉄板で覆われ、亀の甲のような形状をしており、砲弾の命中を軽減する効果を発揮しました。満載状態での船体の高さは水面からわずか4フィートで、煙突（1本または2本という説がある）を除けば、敵艦からの照準を困難にする低いシルエットでした。全長128フィート、全幅26フィート、喫水11フィートの船体には、敵艦に体当たり攻撃を行うための鋭い鉄製の衝角が装着され、前部には装甲された防護板で守られた艦載砲1門が搭載されていました。北軍のスパイからは「地獄のマシーン」と恐れられたと言われています。

ミシシッピ川での活躍と幾多の戦闘

1862年9月12日、南軍の私掠船として就役したマナサスは、すぐにアメリカ連合国海軍に徴用され、ミシシッピ川下流で活動を開始しました。1861年10月12日には、ヘッドオブパッシーズの海戦に参加。この戦闘で、マナサスは北軍のUSSリッチモンドに衝角攻撃を試みましたが、石炭運搬船の妨害により衝撃が吸収され、自身も鉄の艦首と煙突を失い、エンジンの1基が停止する損害を受けました。その後も、USSプレブルからの砲撃を受けましたが、装甲のおかげでこれを防いでいます。

2ヵ月後の再就役後、マナサスは正式にCSSマナサスとなり、ジョン・ミッチェル大佐指揮下のミシシッピ下流域艦隊に配属されました。ニューオーリンズ侵攻におけるジャクソン砦・セントフィリップ砦の戦いで、マナサスはUSSペンサコーラへの衝角攻撃を試みましたが、かわされ激しい攻撃を受けました。さらに、全北軍艦隊からの砲撃にも耐えながら、USSミシシッピ、USSブルックリンにも衝角攻撃を敢行し、ブルックリンは大破させました。

壮絶な最期

戦闘後、マナサスは北軍艦隊を追跡中に座礁。ミシシッピからの激しい砲撃を避けるため、乗員は退艦しました。しかし、マナサスは離礁し、北軍の臼砲艦艦隊の前に漂い出ます。北軍は拿捕を試みましたが、その前にマナサスは爆発し沈没しました。公式戦闘報告書によれば、1863年8月13日の戦闘での負傷者はなかったとされています。

歴史的遺産

CSSマナサスは、南軍最初の装甲艦として、その存在自体が画期的でした。低く、速く、堅牢な装甲を備えたその姿は、敵に恐怖を与えただけでなく、装甲艦設計の進化に影響を与えたと言えるでしょう。その短いながらも激動に満ちた艦歴は、南北戦争における海戦の様相を理解する上で貴重な資料となっています。様々な資料や研究がなされており、今後もその歴史的意義は再評価され続けることでしょう。

もう一度検索