マナド

マナド：スラウェシ島北部の要衝

マナド（Menado）は、インドネシアのスラウェシ島北部、ミナハサ半島の最北端に位置する都市で、北スラウェシ州の州都です。スラウェシ島ではマカッサルに次ぐ第二の都市として知られています。

地理

マナドは西にマナド湾が広がり、海岸線は約18.7kmに及びます。北部はサンギヘ諸島やタラウド諸島と国境を接し、東部と南部はミナハサ県と隣接しています。周辺にはトモホン市、ビトゥン市、アムラン市などの主要都市があります。

マナド湾には、ブナケン島、シラデン島、マナドトゥア島、マンテハゲ島といった島々が点在し、これらの島々へはマナド港からボートでアクセスできます。特にブナケン島はブナケン海洋国立公園に指定されており、美しい海中景観が楽しめます。マナドトゥア島には標高800メートルのマナドトゥア山がそびえています。

ビトゥン市はマナドから東へ約50kmの場所に位置する港町で、かつては小さな部落でしたが、日本人の大岩勇が設立した東インド水産によって発展しました。戦前には沖縄からの漁民が多く定住し、現在も日系人が残っています。また、日本式の漁法や鰹節の製法が伝えられ、現在でも焼津や枕崎へ輸出されています。近年では、日本のODAによってコンテナ埠頭が整備され、北スラウェシ州の物流拠点としての役割を担っています。

気候

マナドは熱帯モンスーン気候に属し、年間を通して涼しい気候が特徴です。平均気温は24℃から27℃で、年間降水量は3,187mmです。10月から3月が雨季、4月から9月が乾季となります。近年は雨季明けが遅れる傾向にあります。

歴史

1658年、オランダ東インド会社がマナドに砦を築いたことが、マナドの歴史の始まりです。その後、多くの住民がオランダ人宣教師によってキリスト教に改宗しました。1830年には、ジャワ島の王子ディポヌゴロがオランダ政府によってマナドに追放されました。1859年には、イギリスの生物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスがマナドを訪れ、その美しさを称賛しました。

1919年には、セルベス教皇県が設立され、1961年にはマナド教区に昇格しました。第二次世界大戦中には、連合国軍の爆撃により大きな被害を受けました。

太平洋戦争以前には、日本の南洋庁によるパラオ統治に伴い、多くの日本企業がマナドに進出し、日本人会も組織されていました。1942年には、日本軍による落下傘奇襲攻撃が行われ、マナドとその周辺地域は日本軍に占領されました。

民族と文化

マナドの主な民族はミナハサ族で、その他に華人や日系人も居住しています。ミナハサ族はミナハサ語（マナド語）を話しますが、インドネシア語、オランダ語、ポルトガル語の影響を受けています。

宗教はプロテスタントが多数派ですが、近年はインドネシア政府の民族融合政策により、イスラム教徒の移住も進んでいます。

交通

マナドにはサム・ラトゥランギ国際空港があり、ジャカルタ、シンガポール、ダバオなどへの直行便が運航しています。空港から市内へのアクセスは、タクシーが便利です。市内交通はミクロレット（ミニバス）が主流ですが、近年は自動車の増加に伴い交通渋滞が慢性化しています。

名所・名物

マナドには多くの観光名所があります。ピエレ・テンデアンボレバードには、デパートや飲食店が立ち並び、土産物店はジャランベウェ・ラピアンとパサージェンキに集中しています。

マナドの料理には、ティヌトゥアン（野菜粥）、パニキ（コウモリ料理）、エルウェ（犬肉料理）など独特なものがあります。また、サゴクッキーのバゲア、ツナのそぼろ入り餅米のラランパ、魚の揚げパンのパナダなども人気です。地酒としては「チャップティクス」があります。

近郊にはブナケン島、トンダノ湖、北スラウェシ州立博物館などがあり、様々な観光を楽しむことができます。特にブナケン島はダイビングスポットとして世界的に有名です。また、シーラカンスが発見された場所としても知られています。

姉妹都市

マナドは、マレーシアやフィリピンの都市と姉妹都市提携を結んでおり、国際的な交流も盛んです。

日本との関わり

茨城県大洗町には、マナド出身者を中心としたミナハサ族のコミュニティが存在し、マナドと日本の間には深い繋がりがあります。

このように、マナドは自然、文化、歴史が豊かで、多様な魅力を持つ都市です。

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