マニフェスト (RHYMESTERのアルバム)

RHYMESTER 『マニフェスト』

『マニフェスト』は、日本を代表するヒップホップグループ、RHYMESTERが2010年2月3日にリリースした、記念すべきオリジナル・アルバムです。

前作『HEAT ISLAND』からおよそ4年という期間を経て届けられた本作は、そのタイトルが示す通り、彼らの揺るぎないスタンスと、新たな局面へ向かう決意表明とも取れる意欲作となりました。

特筆すべきは、これまでの作品ではグループ内のDJ JINや宇多丸が中心となってプロデュースを手掛けることが多かったのに対し、今作ではBACHLOGIC、DJ WATARAI、EVISBEATS、DJ DAISHIZEN、DJ MITSU THE BEATS、MONKEY SEQUENCE.19、そしてMAKI THE MAGICといった、国内外の多様なプロデューサーを積極的に招聘した点です。これにより、RHYMESTERの硬質なラップと普遍的なリリックが、より幅広いサウンドアプローチの上で展開され、グループの音楽性の幅を大きく広げることに成功しています。

アルバムには、彼らの代表曲の一つともなった「ONCE AGAIN」をはじめ、DJ WATARAIが手掛けた骨太な「H.E.E.L.」やグルーヴィーな「ラストヴァース」、EVISBEATSによる心地よい浮遊感を持つ「New Accident」、DJ JINによるファンキーな「付和Ride On」と「K.U.F.U.」、そしてDJ MITSU THE BEATSの叙情的な「Under The Moon」やメロウな「ちょうどいい」など、個性豊かな楽曲群が収録されています。MAKI THE MAGICによるパーティーチューン「Come On!!!!!!!!」も、アルバムに彩りを添えています。

本作は商業的にも大きな成功を収めました。発売日である2010年2月3日付けのオリコンデイリーランキングにおいて、堂々の3位を記録。これは、1989年のグループ結成以来、20年以上のキャリアを持つRHYMESTERにとって、それまでで最も高い順位であり、長年の活動で培ってきた実力と、本作への高い評価、そして幅広い層からの支持を改めて証明する結果となりました。

また、初回限定盤には特別な特典が付属しました。「ラストヴァース」のミュージックビデオを収録したDVDが同梱され、さらにメンバーによる副音声解説も楽しむことができました。加えて、アルバムのハイライトの一つである「ONCE AGAIN」のRemixバージョンも収録。このリミックスには、ヒップホップシーンの重鎮であるDABO、TWIGY、ZEEBRAが客演として参加しており、オリジナルとは異なる新たな魅力を放っています。

『マニフェスト』は、RHYMESTERがキャリアの円熟期を迎えつつも、常に新しい挑戦を続ける姿勢を示すとともに、その高い音楽性とメッセージ性が多くのリスナーに受け入れられたことを証明した、グループの歴史において非常に重要な意味を持つ作品と言えるでしょう。

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