マニー・モリ

エマニュエル・モリ

エマニュエル・“マニー”・モリ（Emanuel “Manny” Mori）は、1948年12月25日にミクロネシア連邦のチューク州秋島（フェファン島）で生まれた政治家です。彼はミクロネシア連邦の第7代大統領として、2007年から2015年まで4期8年間にわたりその職を務めました。

生い立ちと背景

モリ氏は、日本の高知県出身である森小弁を曾祖父に持つ日系4世です。森小弁は1892年に一屋商会という南洋貿易の商社の社員としてチューク諸島に渡り、そのまま現地に定住しました。彼は後に地域社会で認められ、酋長を務めるなど、初期の日系移民として重要な足跡を残した人物です。このような背景を持つモリ氏は、ミクロネシア連邦における日系社会の代表的な一人として知られています。

学歴と金融キャリア

モリ氏はチューク州にあるザビエル高等学校を卒業後、グアム大学に進学しました。同大学で経営管理学を専攻し、1973年に学士号を取得して卒業しました。

大学卒業後の彼のキャリアは金融分野からスタートします。1974年にはシティコープのサイパン支店でアシスタントマネージャーを務めました。その後、1976年にはシティコープを離れ、信託統治領社会保険局で長官補佐として公的なキャリアを開始します。1979年から1981年にかけてはチューク州の国税局に勤務しました。1981年からはミクロネシア開発銀行（FSM Development Bank）に移り、当初は検査官として勤務しましたが、1983年には同行の代表兼最高経営責任者（CEO）に就任し、1997年までその要職を務めました。さらに、1997年から1999年まではミクロネシア銀行（Bank of the FSM）で副総裁を務めるなど、金融分野で幅広い経験を積みました。

政治家への転身

長年にわたる金融分野での経験を経て、モリ氏は政界へと転身します。1999年7月1日に行われたミクロネシア議会の補欠選挙で初当選を果たしました。以降、議員として実績を重ね、2001年、2003年、2005年、そして2007年の総選挙で連続して再選を果たし、議会内での地位を確立しました。

大統領としての活動

2007年5月11日、モリ氏はミクロネシア連邦大統領選挙に出馬。現職であったジョセフ・J・ウルセマル氏を破って当選し、同日、第7代大統領に就任しました。大統領として彼はミクロネシア連邦の国内外における課題に取り組みました。特に、日系人として日本との関係を重視し、両国の友好協力関係の強化に貢献しました。2014年11月には日本を訪問しています。

外交政策

大統領としてのモリ氏の外交政策において、日本との関係は重要な柱の一つでした。彼は日本の国際連合安全保障理事会における常任理事国入りを支持するなど、国際場裡における日本の役割拡大を後押しする姿勢を示しました。これは、自身の日系ルーツや、曾祖父の時代から続く日本との歴史的・文化的な繋がりを背景としたものと考えられます。

モリ氏は2015年に大統領の任期を満了しました。ミクロネシア連邦においては、モリ氏の他にも日系人が大統領や要職を務めた例があり、これは日本とミクロネシア連邦との深いつながりを示すものです。ペルー元大統領のアルベルト・フジモリ氏、パラオ元大統領のクニオ・ナカムラ氏、そしてミクロネシア連邦元大統領のトシオ・ナカヤマ氏など、太平洋地域にはモリ氏を含め日系人の指導者が複数存在します。

モリ氏の大統領としての8年間は、ミクロネシア連邦の発展と国際社会における地位向上に向けた取り組みが行われた期間でした。特に、金融分野での経験を活かした経済政策や、日系人としての視点からの外交政策は、彼のリーダーシップの特色と言えます。

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