マノー・MRT05

マノー・MRT05：2016年シーズンの挑戦と消滅

マノー・MRT05は、2016年のF1世界選手権を戦ったマノー・レーシングのフォーミュラ1マシンです。前年まで「マノー・マルシャF1チーム」としてフェラーリのパワーユニットを使用していましたが、2016年シーズンはチーム名を「マノー・レーシング」に変更し、パワーユニットをメルセデスに変更しました。この変更に伴い、コンストラクター表記は「MRT・メルセデス」となりました。

2月22日、バルセロナ合同テスト初日にて発表されたMRT05は、前年モデルと同様にロングノーズを採用。カラーリングはブルーとオレンジを基調としたデザインに変更されました。シャシーはアルミハニカム構造、ボディワークはカーボンファイバー製で構成されています。サスペンションはフロントがマノー・レーシング製プッシュロッド式トーションバー・スプリング、リアはウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製を採用。ブレーキシステムはマノー・レーシング製で、カーボンファイバー製ディスクパッドとディスク、APレーシング製のディスクキャリパーを使用。タイヤはピレリ製です。

パワーユニットはメルセデス製のPU106C Hybridを搭載し、エキゾースト、ERS、燃料、潤滑油、冷却水もメルセデスとペトロナスが供給しました。トランスミッションはウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製8速シーケンシャル・セミオートマチックギアボックスを採用。クラッチはAPレーシング製カーボンプレートを使用しています。全長5,000mm、全高949mm、重量はドライバー込みで702kgというスペックを持ちます。

2016年シーズンは、予選では多くのレースでQ1敗退という苦戦を強いられました。決勝レースでも、後方グループを走行することが多くなりました。しかし、第9戦オーストリアGPでは、天候が大きく変化する中、パスカル・ウェーレイン選手が予選でQ2進出を果たし12位を獲得。決勝レースでも荒れた展開の中、10位入賞という好成績を収めました。これはマノー・レーシングとして初の入賞であり、前身のマルシャ時代を含めても2014年モナコGP以来の快挙でした。

シーズン後半には、リオ・ハリアント選手の代わりにルノーのリザーブドライバーであるエステバン・オコン選手が起用されました。しかし、シーズン最終戦ブラジルGP後、新たな売却先との交渉がまとまらず、マノー・レーシングはチームとして消滅することになりました。MRT05は、厳しい状況の中、最後まで戦い抜いたマノー・レーシングの挑戦と、惜しまれつつ幕を閉じたチームの歴史を象徴するマシンとして記憶に残るでしょう。

スペック詳細

シャシー: MRT05 (アルミハニカム構造、カーボンファイバーボディワーク)
サスペンション: フロント - マノー・レーシング プッシュロッド式トーションバー・スプリング、リア - ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング
パワーユニット: メルセデス PU106C Hybrid
ギアボックス: ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング 8速＋リバース1速
ブレーキ: カーボンファイバー製ディスクパッド&ディスクブレーキ (マノー・レーシング)、APレーシング ディスクキャリパー
タイヤ: ピレリ
燃料、潤滑油、冷却水: ペトロナス
フロントトレッド: 1,799 mm
リアトレッド: 1,799 mm
ホイールベース: 3,400 mm
全長: 5,000 mm
全高: 949 mm
* 重量: 702 kg (ドライバーを含む)

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