ママー

アルバム『ママー』の詳細

1983年にリリースされたXTCのアルバム『ママー』(原題: Mummer)は、彼らにとって6作目のスタジオアルバムです。このアルバムは、録音が1982年の9月から12月にかけて、イギリスのオックスフォードに位置するマナー・スタジオとバークシャーのジェネティック・スタジオで行われました。リリース元はヴァージン・レーベルです。

アルバム制作の背景

制作当時、レコード会社からは以前の作品同様に商業的な成功を求められていました。最初のテープ提出後、シングルに適した楽曲をさらに収録するようバンドに要求された結果、断念する場面もありました。特に「グレイト・ファイア」が上層部に支持されたものの、商業的な成功は得られず、前作までの評価から一転して評論家たちからは厳しい批評が寄せられました。このように、アルバム制作の過程では様々な緊張感が漂っていたのが印象的です。

アルバムのテーマと内容

タイトルの『ママー』は、イギリス西部の伝統的な芝居に由来しており、独特な雰囲気を持つ作品です。本作には、出身地のブリティッシュ・フォークの影響が色濃く見られ、曲ごとに多様なスタイルが展開されています。アルバムの収録曲には、時折夢幻的で、会話的な要素が散りばめられ、それが聴く者を惹きつける力を持っています。

特筆すべきは、元々アルバムジャケットに使われる予定だった伝統的な芝居を題材とした仮装写真で、最終的にはインナースリーブに採用され、後年の2022年に発売された重量盤LPのジャケットに登場しました。このビジュアルの選択は、アルバムの感性やテーマを強調する要素となっています。

メンバーと制作チーム

レコーディングには、以下のメンバーが参加しました：

• - アンディ・パートリッジ（ギター、ボーカル）
• - コリン・モールディング（ベース、ボーカル）
• - デイヴ・グレゴリー（ギター、キーボード、ピアノ、ボーカル）
• - テリー・チェンバーズ（ドラムス）
• - ピーター・フィップス（ドラムス）
• - スティーヴ・ナイ（キーボード、プロデューサー）
• - ギャヴィン・ライト（ストリングス）

特に、テリー・チェンバーズがこのアルバムの制作期間中に脱退し、ピーター・フィップスがその後のドラムを担当することとなりました。プロデューサーのスティーヴ・ナイは、エンジニアリングの役割も担い、アルバム全体のサウンド作りに寄与しています。こうした人選の背景には、バンドの音楽的な方向づけと、次世代の音楽スタイルへの挑戦が見え隠れします。

結論

『ママー』は、XTCの音楽的成長の一端を示す重要なアルバムであり、商業的な成功を求める中での葛藤を反映した作品でもあります。レビューは賛否が分かれていますが、聴き手にとっては独特な魅力を持った作品となっていることでしょう。音楽の変容とバンドのメンバーの動向が反映された『ママー』は、XTCのディスコグラフィーの中でもユニークな位置を占めています。

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