マヤラン

マヤランの概要

マヤラン（摩耶蘭、学名：Cymbidium macrorhizon）は、ラン科のシュンラン属に属する一種の植物です。その名は、兵庫県神戸市にある摩耶山で初めて発見されたことに由来しています。マヤランは、関東地方から九州にかけての常緑広葉樹林や古い二次林の中で見られる、菌従属栄養植物の一種です。これは、主に腐生植物として存在し、特定の菌類に寄生して生活しています。

特徴

マヤランの根茎は地中で長く這い、分枝しながら成長します。緑色の茎は10〜30センチメートルほど伸び、葉はなく、茎の下部には数枚の鱗片状の葉が存在します。毎年7月から10月にかけて、茎の先端に花を咲かせます。花は白く、がく片と側花弁はそれぞれ2センチメートルの長さを持ち、1センチメートル弱の幅があります。がく片の中央部分には赤い筋があり、側花弁の周辺部には赤い模様があります。また、この花茎には葉緑素が含まれており、果実が成長するにつれてその緑色が濃くなる傾向があります。

絶滅の危機

マヤランは環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧II類に分類されています。主な要因としては、森林の伐採や園芸採取が挙げられます。この植物は菌従属栄養植物であるため、株を采取されても栽培することはできません。しかし、近年では無菌的な種子発芽や無菌培養の研究が進んでおり、人工的に培養した環境下での成長も報告されています。特に、果実から得られた種子には成長におけるばらつきが見られますが、早い個体は3年足らずで根茎を20センチメートル以上伸ばし、開花することができます。

研究と雑種化

2012年10月26日には、国立科学博物館筑波実験植物園がマヤランを花粉親、光合成を行うスルガランを種子親とした雑種の開花に成功したことを発表しました。この開花は、シュンラン属やラン科だけでなく、全ての植物において光合成する植物と光合成しない植物の間の雑種の開花としても特筆すべき事例です。この研究は、光合成をやめた植物の進化に関する問いに対する重要な手がかりとなることが期待されています。

参考文献及び外部リンク

参考文献として「絶滅危惧種情報（植物）- マヤラン -」や「植物たちの危機11 マヤラン」などがあり、さらなる研究資料として利用されています。また、水野直美による試験管内でのマヤランの開花に関する考察も重要な文献です。詳細を知りたい方は、外部リンクなども活用してみてください。

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