マヤ・リン

マヤ・リン：世界的に活躍するデザイナー兼彫刻家

マヤ・リン（Maya Ying Lin、1959年10月5日 - ）は、中国系アメリカ人のデザイナー兼彫刻家として知られています。彼女は建築家とは呼ばずに、自身をデザイナーと称しています。空間設計にも携わっていますが、その活動は彫刻やインスタレーションなど多岐に渡ります。

彼女のキャリアの転機となったのは、1981年の出来事です。まだイェール大学の学部生だった21歳のリンは、ワシントンD.C.に建設される予定だったベトナム戦争戦没者慰霊碑の設計コンペティションで優勝しました。1422件もの応募の中から選ばれた彼女のデザインは、黒い花崗岩の壁に57,939人の戦死者の名前が刻まれた、V字型の慰霊碑でした。一方はリンカーン記念館、もう一方はワシントン記念塔に向かうように配置され、そのシンプルなデザインと重厚な存在感は、多くの人々の心を深く揺さぶりました。この作品は1982年11月に奉納され、現在も人々の追悼の場として静かに佇んでいます。

数々の受賞歴と代表作

ベトナム戦争戦没者慰霊碑は、リンの名声を世界に轟かせましたが、彼女の創作活動はそれにとどまりません。彼女はその後も、数々の公共彫刻や記念碑、建築空間のデザインを手掛けてきました。その作品は、自然の地形や素材を巧みに用いた、シンプルながらも力強い表現が特徴です。

彼女の才能は高く評価され、数々の賞を受賞しています。主な受賞歴には、ローマ賞（1999年）、アメリカ芸術文学アカデミー選出（2005年）、大統領自由勲章（2016年）などがあります。

リンの代表作として挙げられるのは、以下の通りです。

Aligning Reeds (1985): コネチカット州ニューヘブン
公民権記念館 (1988-89): アラバマ州モンゴメリー
Eclipsed Time (1989-95): ニューヨーク市ペンシルベニア駅
Women's Table (1990-93): イェール大学、ニューヘブン
Groundswell (1992-93): オハイオ州コロンバスのウェクスナー芸術センター
ウェイブ・フィールド (1993-95): ミシガン大学、アナーバー
北緯10度 (1993-96): ロックフェラー財団本部、ニューヨーク市
庭を読む (1996-98): クリーブランド公立図書館、オハイオ州クリーブランド
Langston Hughes Library (1999): テネシー州クリントン
時刻表 (2000): スタンフォード大学、カリフォルニア州スタンフォード
コンフルエンス・プロジェクト: 複数の地域で展開
A Fold in the Field (2013): ニュージーランド
* ゴースト・フォレスト (2021): マディソン・スクエア・パーク、ニューヨーク

これらはほんの一例であり、彼女の作品は世界各地に点在し、人々の記憶に深く刻まれています。

マヤ・リンの作品に共通するテーマ

マヤ・リンの作品には、自然との調和、歴史の記憶、そして人間の存在といったテーマが共通して見られます。彼女は、環境に配慮した素材を使用したり、自然の地形を生かしたデザインをしたりすることで、作品と周囲の環境との一体感を生み出しています。また、歴史的出来事や社会問題をテーマにした作品も多く、それらは観る者に深い思考を促します。

まとめ

マヤ・リンは、ベトナム戦争戦没者慰霊碑という歴史的な作品で名を馳せ、その後も数々の重要な作品を世に送り出してきました。彼女の作品は、その芸術性だけでなく、社会的なメッセージ性も高く評価されています。現代美術史に大きな足跡を残した彼女の今後の活動にも期待が高まります。

もう一度検索