マヨリアヌス

ユリウス・ウァレリウス・マヨリアヌスは、420年11月生まれ、461年8月7日に没した西ローマ帝国の皇帝（在位: 457年 - 461年）です。彼は、衰退の一途をたどる西ローマ帝国の再建に強い意欲を示した最後の皇帝として知られ、「最後のローマ人」と称されることもあります。

生涯

マヨリアヌスの前半生に関する情報は限られていますが、高貴な出身であったとされています。彼はアエティウスによって将校に登用され、その才能を開花させていきました。当時の西ローマ皇帝ウァレンティニアヌス3世は、マヨリアヌスを自身の次女ガッラ・プラキディア（小プラキディア）と結婚させたいと考えていたと伝えられています。しかし、この結婚は実現せず、小プラキディアは453年にアエティウスの息子ガウデンティウスと政略結婚させられました。しかし、454年のアエティウス暗殺、455年のウァレンティニアヌス3世暗殺、そしてヴァンダル族によるローマ略奪という激動の中で、ガウデンティウスはヴァンダル族の王ガイセリックによって捕らえられ、結婚は実現しませんでした。その後、小プラキディアはオリブリウス（後に西ローマ皇帝に即位）と結婚しています。

皇帝アウィトゥスの時代、マヨリアヌスは将軍としてフランク族とアラマニ族の侵略を阻止し、その名声を確立しました。

皇帝として

457年にアウィトゥス帝が殺害されると、当時の西ローマ帝国の最高権力者であったリキメレスによって、マヨリアヌスは皇帝に擁立されました。アウィトゥス殺害にマヨリアヌスが関与したという説もあります。当初、マヨリアヌスはリキメレスの傀儡と見られていましたが、彼は長年の課題であった税制改革や、中央集権から地方への権限委譲といった行政改革を断行し、一定の成果を上げました。また、テオドリック2世率いる西ゴート族の侵略を撃退するなど、軍事的な手腕も発揮しました。

マヨリアヌスは、北アフリカに拠点を置くガイセリック率いるヴァンダル族の討伐を目指し、ヒスパニアの海港カルタゴ・ノヴァ（現在のカルタヘナ）で軍用船の建造を開始しました。皇帝自らも現地に赴き、指揮を執りましたが、461年7月、ガイセリックによる奇襲攻撃を受け、準備中だった建造船が破壊されてしまいました。結果として、マヨリアヌスはガイセリックを「マウレタニア及びトリポニタニアの王」として承認せざるを得なくなりました。

461年8月、マヨリアヌスはヒスパニアからイタリア本国への帰還の途上、兵士の反乱に遭い、暗殺されました。この反乱はリキメレスが扇動したとも伝えられており、マヨリアヌスの死によって西ローマ帝国は再建の最後の機会を失うこととなりました。

マヨリアヌスの短い治世は、西ローマ帝国の衰退を食い止めようとした最後の希望として、歴史に刻まれています。

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