マリアナ・デ・アウストリア

マリアナ・デ・アウストリア - スペイン王フェリペ4世の王妃

マリアナ・デ・アウストリア（Mariana de Austria, 1634年12月23日 - 1696年5月16日）は、スペイン王フェリペ4世の二度目の王妃として知られています。彼女は、ドイツ語ではマリア・アンナ・フォン・エスターライヒ（Maria Anna von Österreich）と呼ばれ、その生涯は多くの歴史的出来事に彩られています。

生い立ちと結婚

マリアナはウィーンで生まれ、神聖ローマ皇帝フェルディナント3世と皇后マリア・アンナの長女にあたります。彼女には、ローマ王フェルディナント4世という兄と、後の皇帝レオポルト1世という弟がいます。幼少期よりフェリペ4世の一人息子であるバルタサール・カルロスと婚約していましたが、1646年に彼が若くして亡くなるという悲劇に見舞われます。これを受け、男子の後継者を急ぐフェリペ4世は、マリアナに1649年、わずか14歳の時に結婚を申し込みました。この婚姻は伯父と姪の近親婚にあたります。

彼女たちの結婚から生まれたのは5人の子供ですが、成人したのは長女マルガリータ・テレサと三男カルロス（後のカルロス2世）の2人だけでした。皇家を継承する男子が必要な時期において、マリアナの重要性は増していきました。

摂政としての役割

1665年、フェリペ4世が亡くなると、まだ幼いカルロス王（当時3歳）の摂政として国を治める責務を果たすこととなります。これにより1675年までの長い期間、実質的な政権を握りました。カルロスはその時期、身体的な不自由から自立できない状態であったため、マリアナの存在は必要不可欠でした。しかし、1678年にフアン・ホセ・デ・アウストリアという大貴族が皇帝の権威を覆す動きを見せ、彼女は一時的に追放されます。フアンは、その後の1679年に亡くなり、マリアナは宮廷に戻り、再び国政に影響力を持つようになりました。

家族と子供

マリアナは5人の子供を授かりましたが、その内、成長したのは以下の2名です。

• - マルガリータ・マリア・テレサ（1651年 - 1673年）：父方の従兄であり、母方の叔父にあたる神聖ローマ皇帝レオポルト1世の皇后として生涯を全うしました。
• - カルロス（1661年 - 1700年）：スペイン・ハプスブルク家の最後の王であり、カルロス2世として名を馳せました。

マリアナは宮廷の権力移行を経て、数多くの困難を乗り越え、強い意志で国を導いた女性でした。彼女の生涯は、王政と政治、また宮廷内の力学が絡み合う複雑な時代を象徴するものとして、現在においても多くの歴史的研究の対象となっています。また、彼女の名を冠するマリアナ諸島は、彼女の歴史的背景を映し出す象徴的存在と言えるでしょう。

もう一度検索