アナ・デ・アウストリア

アナ・デ・アウストリア（Ana de Austria, 1549年11月1日 - 1580年10月26日）は、スペイン王フェリペ2世の4番目の王妃として知られています。彼女は、神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世と皇后マリア（フェリペ2世の妹）の娘として、バリャドリッドで生まれました。ドイツ語ではアンナ・フォン・エスターライヒ（Anna von Österreich）と呼ばれます。

幼少期のアナは、4歳からウィーンで育ちました。彼女の生涯における重要な転換期は、フェリペ2世が3番目の王妃エリザベート・ド・ヴァロワを亡くした後、新たな王妃としてアナを選んだことに始まります。しかし、フェリペ2世とアナは実の伯父と姪という近親関係にあったため、ローマ教皇ピウス5世はこの結婚に反対しました。この反対は、当時のカトリック教会の結婚に関する規定と、近親婚に対する懸念に基づいていたと考えられます。

それでも、最終的には教皇の認可が下り、1570年5月、プラハでフェリペ2世とアナは結婚しました。この結婚は、スペイン王室の継承と安定を確保する上で重要な役割を果たしました。夫婦の間には、以下の5人の子供が生まれました。

フェルナンド（1571年 - 1578年）
カルロス・ロレンソ（1573年 - 1575年）
ディエゴ・フェリックス（1575年 - 1582年）
フェリペ3世（1578年 - 1621年） - スペイン、ナポリ、シチリア、ポルトガルの王となる。
* マリア（1580年 - 1583年）

アナの生涯におけるもう一つの重要な出来事は、1580年にフェリペ2世がポルトガルを併合したことです。これにより、アナはスペイン王妃に加えて、ポルトガル王妃という地位も得ることになりました。これは、彼女の地位と影響力を高めることになりました。

しかし、アナの生涯は長くは続きませんでした。1580年、彼女は接触性の伝染病に罹患し、バダホスで急逝しました。アナの死は、スペイン王室にとって大きな損失であり、フェリペ2世にとっても深い悲しみをもたらしました。彼女の短い生涯にもかかわらず、スペイン王室の歴史において重要な人物であり、特にフェリペ3世の母として、その影響は後世にまで及んでいます。

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