マリア・プリマチェンコ

マリア・プリマチェンコ（Maria Prymachenko, 1908年12月30日 - 1997年8月18日）は、ウクライナを代表する素朴派の民族装飾芸術家です。彼女の芸術は、デッサン、刺繍、陶磁器の絵付けなど、多岐にわたります。

プリマチェンコは、1937年にパリで開催された国際展示会で金メダルを獲得し、その才能が国際的に認められました。その後も、1966年にタラス・シェフチェンコ国立賞、1970年にソビエト連邦の名誉芸術家、1988年にウクライナの人民芸術家といった数々の栄誉に輝いています。

彼女の作品は、パブロ・ピカソをして「この素晴らしいウクライナ人の芸術的な奇跡の前に身をかがめます」と言わしめるほど、独創的で魅力的なものでした。また、ユネスコは2009年を「マリア・プリマチェンコの年」と宣言し、その功績を称えました。

プリマチェンコの作品の独創性は、彼女の独特な形式と様式に表れています。例えば、木の描写や、コテージの内部と外部を同時に表現する手法などが挙げられます。彼女の作品には、善と悪の闘いというテーマが常に根底にあり、それが観る者の心を強く揺さぶります。

プリマチェンコの作品は、旧ソビエト連邦、ウクライナだけでなく、ポーランド、ブルガリア、フランス、カナダなど、多くの国々で展示され、国際的な評価を得ています。

しかし、彼女の作品には悲しい出来事もありました。プリマチェンコの絵画「旅中のロッタ」は、フィンランドのデザイナー、クリスティーナ・イソラによって、フィンランド航空が飛行機の装飾に使用したファブリックデザイン「メトサンヴァキ/森の住人」に盗作されたという事件です。さらに、2022年2月27日のロシアによるウクライナ侵攻の際、イヴァンキフ歴史・地方史博物館が全焼し、プリマチェンコの所蔵作品20点以上が失われるという悲劇も起きました。

プリマチェンコの作品は、多くの人々を魅了し、その芸術的な遺産は今後も長く語り継がれることでしょう。彼女の独特な視点と表現は、世界中の人々に感動を与え続けています。

ギャラリー

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脚注

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