マリー・アントワネット (映画)

映画『マリー・アントワネット』の概要

『マリー・アントワネット』（原題：Marie-Antoinette）は、2006年に制作されたアメリカとフランスの共同制作の歴史映画で、ソフィア・コッポラが監督しました。彼女は前作『ヴァージン・スーサイズ』で主演を務めたキルスティン・ダンストを再び起用し、若き王妃マリー・アントワネットの人生を描いています。この映画は、イギリスの歴史作家アントニア・フレーザーの同名小説に基づいており、日本語版の翻訳は野中邦子によって行われています。

制作と撮影

本作の撮影はフランスのヴェルサイユ宮殿で3ヶ月にわたり行われ、華麗な映像美が映画の大きな特徴です。映画は第59回カンヌ国際映画祭に出品されたものの、試写では批判が寄せられました。特にフランスのマリー・アントワネット協会の会長は、「アントワネットのイメージ改善の努力が無駄になる」とコメントし、映画の内容を非難しました。しかし、映画は史実を忠実に再現することを目的としていないため、一部からは青春映画としての側面も評価されています。

主演のダンストは、作品について「歴史的事実に基づくものではなく、歴史的な感覚を描いた映画」と述べています。映画の根本的なテーマは、14歳の少女が異国で経験する孤独感であり、監督の前作『ロスト・イン・トランスレーション』にも通じるものがあります。

ストーリーの概要

物語は、1769年にオーストリアの皇女マリア・アントニアがフランス王室に嫁ぐところから始まります。彼女は母マリア・テレジアの指示で、フランスとオーストリアの同盟を強化するために王室に送り込まれました。次の年、育ての王子ルイ16世と結婚することになりますが、最初の数年間はセックスレスの状態が続き、彼女は「オーストリア女」として疎外感を抱くことに。周囲の冷たい視線や噂に心を痛める中、アントワネットは豪華なパーティーやショッピングにのめりこみ、次第に贅沢な生活を享受するようになります。

数年後、彼女はある舞踏会でフェルセン伯爵と出会い、一人生きる楽しみを見つけ始めます。また、兄ヨーゼフ2世のアドバイスで、家庭を築くも次第に国政の混乱が彼女を覆うことに。フランスの財政危機やアメリカ独立戦争の影響で国民の不満が高まり、豪華な生活を送るアントワネットに対する反発が強まります。民衆はフランス革命を引き起こし、彼女とルイ16世は命の危険にさらされることになり、最終的にはベルサイユ宮殿が襲撃される運命を辿ります。

受賞と評価

映画は第79回アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞し、特に美しい衣装が高く評価されました。この作品は、その豪華な映像と独特なサウンドトラックで他の時代劇と差別化され、多くの視聴者に印象を与えました。Rotten Tomatoesでの評価は57%の高評価を得ており、Metacriticでも平均点65点を獲得しています。ただし、批評家の中には、スタイルに偏りすぎているとの意見も存在します。

音楽とトリビア

サウンドトラックには、スージー・アンド・ザ・バンシーズやザ・ストロークスなど多様なアーティストの楽曲が収められ、特に音楽プロデューサーのブライアン・レイツェルによる作品は映画の雰囲気を盛り上げます。また劇中には、あらゆる時代のファッションの影響を受けたアイテムが見られるなど、細部にわたるこだわりも光ります。

『マリー・アントワネット』は、単なる歴史映画としてだけでなく、時代を超えた少女の成長物語としても楽しめる作品となっています。

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