マリ人

マリ人について

マリ人（ロシア語: Мари́йцы、マリ語: мари）は、ロシアのヴォルガ川およびカマ川沿岸に伝統的に居住しているウラル語族系の民族です。彼らの大部分はマリ・エル共和国に居住しており、タタールスタン共和国やバシコルトスタン共和国にも多くの人々が生活しています。かつては「チェレミス人」とも呼ばれたマリ人は、独特な文化と伝統を持ち続けています。

分類

現代のマリ人は、主に三つのグループに分類されます。第一に、ヴォルガ川の左岸に居住する牧地マリ人、次にヴォルガ川の右岸に住む山地マリ人、そしてバシコルトスタン共和国に住む東部マリ人です。2010年のロシアの国勢調査によると、57万人以上が自らをマリ人と認識し、その中には山地マリ人が約18,000人、東部マリ人が56,000人を含んでいます。興味深いことに、約60%のマリ人が農村地域に居住しています。

人種的特徴

マリ人はコーカソイドに属しますが、遺伝子的にはウドムルト人やコミ人、モルドヴィン人に近いとされています。また、彼らの間にはハプログループNと呼ばれるモンゴロイドの遺伝子が約40〜50%存在します。これにより、マリ人の遺伝的背景は多様であることが示されています。

言語と経済

マリ人は、伝統的に農耕を中心とした生活を送っており、主な作物として小麦やソバ、ライ麦、豆類、亜麻が栽培されています。この農業活動は、彼らの食生活や文化に深く結びついています。彼らの生活の中で、地域の自然環境との関係が重要視されています。

信仰と伝統

マリ人の信仰体系は自然崇拝に基づいています。彼らは人間と自然が密接に結びついていると考え、自然は神聖で人間が侵すことのできない領域であると信じています。この考え方から、自然は人々に恩恵をもたらす存在とされており、その存在を大切に扱うことが重要視されています。

信仰の中で特に重要なのは「大白神（Ош Кугу Юмо）」であり、彼は神々の階級の中で最上位に位置するとされています。その下に火の神や風の神が存在し、また地上に住むとされる半神半人も信仰されています。16世紀からはキリスト教も取り入れられましたが、大半のマリ人は伝統宗教を大切にし続けています。

ソ連時代の影響

ソビエト連邦時代には、マリ人の社会構造に大きな変化が訪れました。民族問題人民委員部による組織化が進められ、マリ人と多民族の結婚を推奨する動きがありました。しかし、この動きの背後には、ソ連政府による穀物の接収やマリ人の兵士の徴用が含まれていたことがわかっています。こうした歴史的背景は、現在のマリ人社会にも影響を及ぼしています。

マリ人は、豊かな文化と歴史を持つ民族であり、伝統的な信仰や生活様式を尊重しながら現代を生きています。彼らの存在は、ロシアの多文化社会の一端を担っています。

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