マルカブリュ

マルカブリュは、12世紀の中頃に活躍したトルバドゥールであり、その活動時期は1130年頃から1149年頃とされています。中世フランス南部で独自の詩風を確立し、後世に影響を与えました。

マルカブリュに関する記録は非常に少なく、2つの伝記（ヴィダ）が存在するのみです。しかし、これらの伝記の内容は大きく異なっており、彼の出自や人物像は謎に包まれています。一説によれば、彼はガスコーニュ地方の貧しい女性の息子として生まれ、最初のトルバドゥールの一人として活躍したとされています。また、別の説では、彼は富豪の家の前に捨てられ、ジョングルールであるセルカモンに育てられたとされています。セルカモンから作詩を学び、マルカブリュと名乗るようになったと伝えられています。

マルカブリュの詩は非常に高く評価され、広く知られるようになりました。しかし、その一方で、彼は毒舌家であり、辛辣な言葉で人々を批判することが多かったようです。そのため、彼に悪口を言われた領主たちによって刺殺されたという逸話も残っています。いずれにせよ、マルカブリュがガスコーニュ地方出身のジョングルールであり、最初期のトルバドゥールの一人であったことは間違いないでしょう。

マルカブリュは、ポワティエ伯ギヨーム10世の庇護を受けていた時期があったようです。しかし、ギヨーム10世の死後、彼はフランス南部やスペインの貴族たちに庇護を求めましたが、その性格が災いして、どこも長続きしなかったと伝えられています。

マルカブリュの作品として知られているのは、『果樹園の泉の辺りは』（A la fontana del vergier）をはじめとする32のシルヴァンテスです。これらの作品は、当時の社会や文化、人々の感情を反映しており、中世文学の研究において重要な資料となっています。彼の詩は、洗練された技巧と独特の表現で知られており、後世のトルバドゥールたちに大きな影響を与えました。マルカブリュは、初期のトルバドゥールの中でも特異な存在であり、その作品は今日でも多くの人々に愛されています。

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