ジョングルール

ジョングルールは、中世フランスにおける大道芸人を指す言葉です。各地を遍歴し、歌や音楽、ジャグリングなどの芸を披露することで、民衆文化の伝播や伝承に重要な役割を果たしました。現代でも大道芸人を指す言葉として使われるほか、吟遊詩人を表す言葉としても用いられます。

起源と歴史

ジョングルールの語源は、ラテン語の「道化者」を意味するジョクラトルに由来する古フランス語のジョグラールです。その起源は明確ではありませんが、8世紀には教会から騒音を立てる存在として危険視されていた記録が残っています。一方で、教会が民衆を集めるための宣伝に彼らを利用することもあったようです。

ジョングルールの多くは、芸を披露することで生計を立てていたと考えられます。10世紀頃には、農閑期の収入源として大道芸が奨励されたため、農民もジョングルールとして活動していた可能性があります。

彼らは集団で各地を巡るのが一般的でしたが、吟遊詩人であるトルバドゥールやトルヴェールに雇われ、伴奏や歌唱を担当することもありました。中には、アダン・ド・ラ・アルのようにミンストレルとして宮廷に仕える者や、マルカブリュのようにジョングルールからトルバドゥールに出世する者もいました。

文化への貢献と地位

ジョングルールは、日本の琵琶法師のように、各地で生まれた武勲詩などを伝承しました。中世西洋の代表的な文学作品である『ローランの歌』や、アーサー王物語である『聖杯の物語』の形成にも大きく貢献したと考えられています。

文化の担い手として重要な役割を果たしたジョングルールですが、その地位は決して高くありませんでした。アウトカーストと見なされ、「物乞い達」と呼ばれるなど、長い間差別を受けていました。

ジョングルールの黄金時代と専門化

13世紀になると、騎士階級の没落とともにジョングルールの存在感が増し、「ジョングルールの黄金の世紀」と呼ばれるほど勢力を拡大しました。彼らは技術の向上や互助を目的とした組合を結成し、地位の向上を目指しました。

15世紀頃には、組合によって技術が向上したジョングルールの中から、演奏家、舞踏家、歌手など、それぞれの道に秀でた専門職が現れるようになりました。

関連項目

ミンストレル
ゴリアール
吟遊詩人
旅芸人
琵琶法師
白拍子
猿楽
ジプシー
* スコモローフ

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