マルガリータ・ネルケン

マルガリータ・ネルケンについて

マルガリータ・ネルケン（Margarita Nelken、1894年7月5日 - 1968年3月9日）は、スペインの著名なフェミニスト、著作家、そして政治家として幅広く知られる存在です。特にスペイン第二共和政期において、彼女は女性の権利向上に尽力した先駆的な人物の一人でした。

生い立ちと教育

ネルケンは、1894年にマドリードで誕生しました。彼女の両親はドイツ系ユダヤ人で、宝石店を営んでいました。この家庭に育った彼女は、音楽や油絵、語学に触れる環境で成長しました。スペイン語の他に、フランス語、ドイツ語、英語を学び、国際的な視野を持つようになりました。妹のカルメン・エバ・ネルケンも著名な女優として活躍していました。

著作活動

ネルケンは、1920年代から数多くの社会政治に関連したフィクション作品を発表しました。1923年に出版した著書『La trampa del arenal』（「砂の罠」の意）はその一例であり、女性の社会的地位を扱った作品が多く存在します。特に1922年の『La condición social de la mujer en España』（「スペインにおける女性の社会的状態」の意）は、スペインにおける女性運動の文献の中でも重要な位置を占めています。彼女は、女性労働者の搾取が男女共に負の影響をもたらすことを指摘し、戦闘的なフェミニズムの立場から社会改変を訴えました。

政治家としての活動

ネルケンは、1931年に社会党（PSOE）に加入し、同年の議会改選選挙では、バダホス選挙区から出馬しました。彼女は初の女性議員の一人として制憲議会に参加し、1933年と1936年の選挙でも再選を果たします。彼女は同性の権利向上を支持する一方、当時のスペインではカトリック教会や伝統主義が強く影響しているため、女性に普遍的な選挙権を与えることは時期尚早と判断しました。

農地改革を強く支援したネルケンは、その信念のために右派から激しい攻撃を受けました。特に1934年のアストゥリアス革命の後、彼女は反乱を企てたとして非難され、やむを得ずスペインを離れることになります。その後、パリに滞在し、資金集めの活動を行い、さらにはスカンジナビア諸国やソビエト連邦を訪問しました。1936年にはスペインに帰国し、内戦が始まるとマドリードに留まりました。

ネルケンは、トレド美術館の美術品を安全な場所に移す指揮を執るなどし、ラジオを通じて民兵の士気を鼓舞する演説も行いました。しかし、彼女はフランシスコ・ラルゴ・カバジェーロの指導力に失望し、その後スペイン共産党に入党しました。

亡命と晩年

ネルケンは、スペイン内戦の終結に伴い、妹と共にメキシコへ亡命します。メキシコにおいては、美術評論家として活動しながら、著書『Los judíos en la cultura hispánica』（「スペイン文化におけるユダヤ人たち」）を出版しました。なお、この書籍は2009年にスペインで再版されました。

彼女は1968年3月9日にメキシコシティで生涯を閉じました。ネルケンの業績と彼女が示したフェミニズムの姿勢は、スペインの女性運動における重要な遺産として後の世代に受け継がれています。

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