マルギラン

マルギラン：シルクロードの伝統と現代が交差する都市

ウズベキスタン東部、フェルガナ州に位置するマルギランは、豊かな歴史と独自の文化を誇る都市です。人口約14万人を抱え、標高487メートルに位置しています。

伝説と歴史

マルギランの起源は古く、伝説によればアレクサンドロス3世によって建設されたと伝えられています。町名の由来には、アレクサンドロス3世が当地でチキンとパンを食べたという逸話が残されており、ペルシア語でチキンを意味する「murgh（ مرغ）」とパンを意味する「nan（نان）」が語源になったとする説があります。

9世紀以降はシルクロードの重要な交易拠点として栄え、天山山脈を越えてカシュガルへと続く交易路上に位置していました。このため、東西交易の中継地として、古くから多くの文化が交差し繁栄を築いてきました。

16世紀には、ムガル帝国の初代皇帝バーブルがマルギランを訪れ、その様子を記録に残しています。バーブルは、マルギランのザクロと杏の美味しさ、白鹿など素晴らしい狩猟の獲物、そしてサルト人たちの喧嘩っ早い気質や、当時トランスオクシアナ全域で流行していた悪魔払いがマルギランの人々によって広められていたことなどを記しています。この記録は、マルギランの人々のタフさと独自の文化が既に当時から存在していたことを示唆しています。

マルギランの人々の気質は現在も受け継がれており、中央アジアの商業を支配し、ウズベキスタンの闇市を牛耳る商人たちが多く存在します。近年では、イスラム保守主義の拠点ともなっており、伝統と近代が複雑に絡み合う都市となっています。

絹の都

マルギランは、現在でも最高品質の絹製品を生産することで知られています。ウズベキスタン最大の絹工場がマルギランにあり、古式に則った伝統的な製法が今も守られています。この伝統的な製法は、マルギランの絹製品の品質の高さに繋がっています。

「オールドマルギラン」

マルギランの南に位置するフェルガナは、ロシア人によって「ニューマルギラン（ノーヴィマルギラン）」と呼ばれたことから、マルギランは「オールドマルギラン」と呼ばれることもあります。この呼称からも、マルギランがフェルガナ地方における歴史的な中心地であったことが分かります。

まとめ

マルギランは、伝説に彩られた歴史、シルクロード交易拠点としての栄光、そして伝統的な絹織物生産と、複雑で多様な顔を持つ都市です。古式ゆかしい伝統と近代的な商業が共存し、中央アジアにおける独特の文化を形成しています。バーブルの記録から現代まで続くその独特の文化、そして現代においても続く活力は、マルギランという都市の深い歴史と魅力を物語っています。

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