マルクス・トラヤヌス

マルクス・ウルピウス・トラヤヌス・マイヨル：皇帝トラヤヌスの父

マルクス・ウルピウス・トラヤヌス・マイヨル（30年頃～100年以前）は、ローマ帝国第13代皇帝トラヤヌスの実父であり、その功績から「大トラヤヌス」とも呼ばれる人物です。彼は、イタリアにルーツを持つ古いローマ貴族の家系、ウルピウス氏族トラヤヌス家に生まれました。イベリア半島のイタリカ（現在のセビリア近郊）に領地を持つ、入植者出身のローマ人でした。

出自と家族

マルクス・トラヤヌスは、ウルピウス氏族トラヤヌス家の嫡男として誕生しました。彼は、元老院議員クィントゥス・マルキウス・バレアの娘であるマルキアと結婚し、息子トラヤヌスと娘ウルピア・マルキアナをもうけました。さらに、彼の妹ウルピアはハドリアヌス家のプブリウス・アエリウス・ハドリアヌス・マルリヌスと結婚しており、トラヤヌス家とハドリアヌス家は親戚関係にあったことが分かります。

輝かしい経歴

マルクス・トラヤヌスは、一族で初めて元老院議員となりました。彼の経歴は華々しく、名将グナエウス・ドミティウス・コルブロの下で軍団長を務めたとする説もあります。確かな記録として残っているのは、ユダヤ戦争における活躍です。彼はウェスパシアヌスの配下で第10軍団フレンテンシスを指揮し、その功績からウェスパシアヌスから厚い信頼を得ました。70年には執政官に任命され、その後も様々な属州の総督を歴任しました。

死と神格化

マルクス・トラヤヌスは、息子トラヤヌスが皇帝に即位する前に亡くなったとされています。息子のトラヤヌスは、両親と妹の死を悼み、コロニア・マルキアナ・ウルピア・トライアナ・ティムガディ（現在のアルジェリア、ティムガッド）を建設しました。これは、彼らへの深い愛情と敬意の表れと言えるでしょう。さらに、113年には、マルクス・トラヤヌスは帝国によって神格化され、「神君トラヤヌスの父」として崇められるようになりました。これは、彼の功績とローマ帝国への貢献がいかに大きかったかを物語っています。

まとめ

マルクス・ウルピウス・トラヤヌス・マイヨルは、単なる皇帝の父というだけでなく、ローマ帝国において重要な役割を果たした人物でした。彼の軍事的才能、政治手腕、そして家族への深い愛情は、歴史の中にしっかりと刻まれています。彼の功績は、息子であるトラヤヌスの治世にも大きな影響を与えたことは間違いありません。 彼は、皇帝トラヤヌスの成功の礎を築いた重要な人物として、ローマ史において重要な位置を占めていると言えるでしょう。彼の生涯は、ローマ帝国の繁栄と、家族の絆の強さを物語る、感動的な物語です。

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