マルクス・プラウティウス・ヒュプサエウス

マルクス・プラウティウス・ヒュプサエウスは、紀元前2世紀の共和政ローマで活躍した政治家です。紀元前125年には執政官（コンスル）という要職を務めました。

出自

ヒュプサエウスは、プレブス、すなわち平民のプラウティウス氏族の出身でした。プラウティウス氏族は、過去には執政官を輩出したこともありましたが、紀元前318年以降、約200年間その記録が途絶えていました。ヒュプサエウス家は、氏族の中でも比較的繁栄していたものの、この時代に執政官に上り詰めたのは、マルクス・プラウティウス・ヒュプサエウスただ一人でした。

しかし、カピトリヌスのファスティ（執政官一覧）の欠損により、彼の父や祖父の名前は不明であり、紀元前135年に法務官を務めたルキウス・プラウティウス・ヒュプサエウスとの関係も定かではありません。

経歴

ヒュプサエウスの経歴については、詳しいことはあまり分かっていません。執政官に就任した年とウィッリウス法の規定から推測すると、遅くとも紀元前128年には法務官に就任していたと考えられます。法務官時代には、ある裁判で弁護人を務めました。この裁判では、マルクス・リキニウス・クラッスス・アゲラストゥスが判事を、グナエウス・オクタウィウスが検事を務めました。キケロによれば、ヒュプサエウスは法務官クラッススに対して、大声でまくし立てるように弁論し、結果的に依頼人を不利な状況に追い込んだとされています。

資料では、オクタウィウスを元執政官と記していることから、この裁判は紀元前127年か紀元前126年に行われたと考えられます（オクタウィウスは紀元前128年の執政官）。

紀元前126年末、ヒュプサエウスは執政官選挙に立候補し、見事当選を果たしました。歴史家のF.ミュンツァーは、この年の執政官マルクス・アエミリウス・レピドゥスとルキウス・アウレリウス・オレステスの強力な支援があったと考えています。また、同時に当選したマルクス・フルウィウス・フラックスは、グラックス兄弟の支持者であり、民衆派（ポプラレス）の初期の人物として知られています。一方、ヒュプサエウスは元老院を重視する閥族派（オプティマテス）に属していました。ガイウス・センプロニウス・グラックス（グラックス弟）が「プラウティウスの反論」という演説を行ったことからも、このことが裏付けられます。現在、この演説の原稿は失われていますが、このプラウティウスとはヒュプサエウスのことであると考えられています。

元老院は、フラックスの改革を阻止するため、彼にサリエス（ガリア人国家）の略奪からマッシリア（現在のマルセイユ）を防衛するよう命じ、ローマから遠ざけました。ヒュプサエウスも同様にローマを離れたと推測されます。同年、イタリア半島内の都市フレッゲラが反乱を起こしましたが、両執政官が不在であったため、法務官が軍を率いて鎮圧に当たらざるを得ませんでした。

ヒュプサエウスは、設立されて間もないアシア属州に派遣された可能性も指摘されています。初代属州総督を務めたマニウス・アクィッリウスが紀元前126年にローマに帰還しているためです。しかし、その後のヒュプサエウスに関する記録は残っていません。

評価

キケロは、その著作『弁論家について』の中で、ヒュプサエウスを真の弁論家とは評価していません。

子孫

ヒュプサエウスには同名の息子がおり、海軍の司令官を務めたことが知られています。

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