マルグリット2世 (フランドル女伯)

マルグリット2世（Marguerite II, 1202年6月2日 - 1280年2月10日）は、中世フランドルとエノーを治めた女伯です。彼女の生涯は、政治的な駆け引きと相続争いに彩られた波乱に満ちたものでした。父はラテン皇帝ボードゥアン1世、母はシャンパーニュ伯アンリ1世の娘マリーであり、姉にフランドル女伯兼エノー女伯ジャンヌがいました。

生い立ちと結婚

1202年、マルグリットは父が第4回十字軍に参加した後、生まれました。幼少期は、母の死後、叔父であるナミュール伯フィリップやフランス王フィリップ2世の後見を受けました。父は1205年にブルガリアで獄死し、叔父のアンリがラテン皇帝を継ぎました。マルグリットの姉ジャンヌはフランドルとエノーを相続しました。

1212年、マルグリットはアヴェーヌ領主ブシャール4世と結婚し、3人の子をもうけましたが、この結婚は後にローマ教皇によって無効とされました。1223年にダンピエール伯ギヨーム2世と再婚し、5人の子をもうけました。この2度の結婚は、後のフランドルとエノーの継承問題に大きな影響を与えました。

フランドルとエノーの相続

1244年、姉ジャンヌが子を残さずに亡くなったため、マルグリットはフランドルとエノーを相続しました。しかし、マルグリットはフランドルをギヨーム2世の子に継がせようとしたため、最初の結婚で生まれた子であるジャンとの間でフランドル継承戦争が勃発しました。1246年にはルイ9世の調停により、フランドルはギヨーム、エノーはジャンが相続すると取り決められましたが、マルグリットはエノーを譲らなかったため、再び争いが始まりました。

1251年にギヨームが亡くなり、1253年にはギーが敗北したことで、ジャンがエノー伯となりました。しかし、1257年にジャンが急死したため、マルグリットはエノー女伯に復位しました。また、ギヨームの死によってフランドル女伯にも復位しました。

その後の統治と死

マルグリットは1278年にフランドルをギーに譲り、1280年に亡くなりました。エノーは孫のジャンに受け継がれました。マルグリットの生涯は、中世ヨーロッパの複雑な相続関係と政治的駆け引きを象徴する出来事と言えるでしょう。

子女

アヴェーヌ領主ブシャール4世との間には以下の3子がいました。

ボードゥアン（1217年 - 1219年）
ジャン1世（1218年 - 1257年） - エノー伯
ボードゥアン（1219年 - 1295年） - ボーモン領主。娘ベアトリスはルクセンブルク伯ハインリヒ6世と結婚

ダンピエール伯ギヨーム2世との間には以下の5子がいました。

ギヨーム（1224年 - 1251年） - フランドル伯
ジャンヌ（1225年頃 - 1245/6年） - ルテル伯ユーグ3世と結婚、バル伯ティボー2世と結婚
ギー（1226年頃 - 1305年） - フランドル伯
ジャン（1228年頃 - 1258年） - ダンピエール＝シュル＝ローブ、ソンピュイおよびサン＝ディジエ領主、トロワ子爵
マリー（1230年頃 - 1302年） - フランヌ女子修道院長（ドゥエー近郊）

マルグリット2世の生涯は、中世の貴族社会における女性の役割、相続の複雑さ、そして政治的な権力闘争を理解する上で重要な事例です。彼女の決断や行動は、後の歴史にも大きな影響を与えました。

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